ようこそ hirot'sBlog へ

2004/11/25
本BLOGの公開を
開始しました。
映画は、今世紀に入って
ほとんど劇場では
見ていません。
主にDVD、CS、BS放送
による観賞です。
表題後ろにあるのが評価で、
前は客観点(出来の良さ)、
後は主観点(好き嫌い度)。
A-Eにするつもりですが
客観・主観とも
Cが及第点として、
Aが最高評価
Eが最低評価
とお読みください。
よろしくお願いします。

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hiro


ノワール・ボイルド

2023年03月26日

激怒(2022)

2022年 日本
高橋ヨシキ監督&脚本&企画 高岡ヒロオ撮影 中原昌也/渡邊琢磨音楽 川瀬陽太 小林竜樹 彩木あや 奥野瑛太 松嵜翔平 木村知貴 安藤ヒロキオ 影山祐子 松浦祐也 水澤紳吾 笹野鈴々音 吉岡睦雄 足立智充 木口健太 中山求一郎 大西信満 山本宗介 山本ロザ 礒部泰宏 和田光沙 阿見201 満利江 前原麻希 しじみ 柳英里紗 速水今日子 北岡龍貴 渋川清彦 井浦新 リカヤ・スプナー 中子真治 西山真来 須森隆文 二ノ宮隆太郎 石川瑠華 中野未穂  倖田李梨 島津健太郎 佐藤宏 ヴィヴィアン佐藤 ちんどん 永井ちひろ 大善沙紀 神取孝全 柘榴  原博章 石川雄也 いまおかしんじ 翁華栄 佐野和宏 福居ショウジン 渡辺トミオ 牛丸亮 久田松真耶 小林節彦 エリック・シッケタンツ 守屋文雄 木村文洋 菊地健雄 金子昌宏 木村和幹 小川康弘 小川麻子 下社敦郎 坂口一直 朝倉大介 伊藤清美 中原翔子 森羅万象

激怒すると見境なく暴力を振るってしまう悪癖を持つ刑事・深間は、度重なる不祥事により、海外の医療機関で怒りを抑える治療を受けることに。数年後、治療半ばで日本に呼び戻された彼は、街の雰囲気が以前とは一変していることに気づく。行きつけだった猥雑な店はなくなり、飲み仲間や面倒を見ていた不良たちの姿もない。そして町内会の自警団が「安全・安心」のスローガンを掲げて高圧的なパトロールを繰り返していた。やがて、深間の中にずっと眠っていた怒りの感情がよみがえる。

・色々な意味で恐ろしい映画。まあ現代版「時計仕掛けのオレンジ」という趣(と。思い至って、改めてこれはそうなんじゃないかと思った)。
・それなりの志向はあった暴力刑事(不良たちとも良い意味でつながっていた)が、その素行を問題にされて一種精神病院に送られ、暴力性を削除されるが、しかし街に戻ると、平和な街をスローガンに自警団により徹底的に暴力的に不良とみなされたものがリンチにあっていた。その街での不安定な主人公の位置(優遇されているが刑事としての実権を削がれている)、それはこの街がかつての彼をモデルにして街のスタイルを作ったのだということだった。やがてかつての不良仲間の隠遁生活を目の当たりにし、彼は再び暴力性に目覚めていく、というクライマックスのすさまじさ。
・最初に書いた<色々な意味で恐ろしい映画>、というのは、これを見ながら見ている自分自らの暴力性を感じてしまうから。それは多かれ少なかれ、映画を見ればランボー的にもなれば高倉健さんの気分にもなるけど、この映画を見ての感覚はちょっと異質な怖さだった。それは多分、主人公の体験としての「時計仕掛けのオレンジ」における主人公アレックスと、本作の主人公の重なりと共に、しかしこの両作品のモチーフは全く別物であり、それは両作品の結末を見れば明らかだろう。(「時計仕掛けのオレンジ」は原作小説ではなくあくまで映画を対象としています)




hirot15 at 20:53|PermalinkComments(0)

2022年12月08日

ある脅迫

1960年 日活
蔵原惟繕監督 川瀬治脚色 多岐川恭原作 山崎善弘撮影 佐藤勝音楽 金子信雄 西村晃 草薙幸二郎 河上信夫 山田禅二 浜村純 白木万理 小園蓉子 新井麗子 河合健二 花村典克 久遠利三 水谷謙之 川村昌之 山中大成 清水千代子 青木富夫

銀行員の滝田はエリート街道を歩き、本店に栄転することになる。一方、幼馴染みの中池は銀行の庶務係として正反対の人生を歩んでいた。そんなある日、滝田の前にヤクザが現れ…。

・こちらは正統的サスペンス・ミステリ。金子信雄と西村晃の正反対の関係と、脅迫されて自らの銀行の金庫破りをしなければならなくなる金子信雄。奇しくも彼は西村晃の夜勤の日に金庫破りをすることになるという奇縁。
・終盤になってどんでん返しの連続でなかなか楽しめるサスペンスだった。しかも若き金子信雄と西村晃がそれぞれに似合ったキャラを演じているのだが、実は西村晃の弱気演技、金子信雄のエリート演技ながら、彼のほうが脅迫される役柄。後に彼らが演じるキャラとのギャップも面白いのだが、実はそれがあっているのが更に面白い。女優陣がもう少し魅力的ならばよかったのだが(これは好みの問題か)。
・それと、最後のどんでん返しは、仕方ないのかもしれないけど、正直、蛇足な気がする。




hirot15 at 21:23|PermalinkComments(0)

2022年12月07日

狂熱の季節

1960年 日活
蔵原惟繕監督 山田信夫脚色 河野典生原作 間宮義雄撮影 黛敏郎音楽 川地民夫 郷えい治 千代侑子 松本典子 長門裕之 チコ・ローランド 高山千草 島田容子 清水喜代子 杉山和子 山田喜芳 モーリス・グリエル ウィリアム・バッソン ベン・リード 深江章喜 黒田剛 重盛輝江 清水千代子 矢沢嘉健 宮川満夫 井上久 松丘清司 川村昌之 久木登紀子 小園蓉子 草薙幸二郎 新井麗子

二人の少年、明と勝が少年鑑別所の門を出た。外は真夏だった。車を盗み出した二人は、ユキをさがして繁華街を飛ばした。ユキは外国人相手のパンパンで、明とは古いつき合いだった。白人を連れ立ったユキをみつけると、二人はホテルにパトカーを呼んだ。寸前、ユキは白人の財布を持って逃げ出した。その金で三人は海に向かった。海岸で明は一組のアベックに目をとめた。明を鑑別所に送り込んだ新聞記者の柏木と恋人の文子だった。柏木を倒すと、明は文子を草むらの中で犯した。

・蔵原惟繕の作品は勿論見たことはあるが(後年の大作よりも日活時代の裕次郎映画が中心、もっとも最初に見たのは裕次郎の大作「栄光への5000キロ」だけど、これは映画が好きになる前、裕次郎好きの母親に付き合っての子供時代で勿論蔵原惟繕の監督作とは知らなかった)、 彼の作品として印象に残るものはひとつもなかったと思う。
 ・で、この作品は勿論初見だが、これは見れば印象に残るだろう。好きではないが。見始めてすぐに、あ、ヌーベルバーグのマネだな、と直ぐにわかった。いや、別にマネが悪いわけではなく、僕はリメイクが上手い監督は評価するほうなのだが(リメイクが上手い監督はそうはいない)。しかし、これはつまらなさまでヌーベルバーグ的、つまり意識したのはゴダールでしょう。もっとも、ゴダールと違ってわかりやすいけど。
・無軌道な若者(鑑別所を出所したばかりの本物の不良)の無軌道な生き方。盗んだ車を持っていくと少年(浮浪者、孤児?)たちがたちまち解体してしまうといういかにも戦後的描写もある。
・描写といえば、ストーリーよりも当時の渋谷の風景描写の方が興味深かったのだが残念ながら期待したほどちゃんとは描いてくれていなかった。僕が渋谷を知るのは1964年くらいからだから、残念。それでもすぐに渋谷っぽいとはすぐにわかったけど。風景描写で言えば、そのほかにもいくつか懐かしい描写もあったけど。
・無軌道な二人だが、一人は彼としては堅実な(?)ヤクザの道を選ぶのだが、それが運命の分かれ目になるのは一応の見識なのだろうか。
・特別出演の長門裕之が気の弱い青年を演じているのが面白かった。



hirot15 at 20:21|PermalinkComments(0)

2022年10月20日

狙われた女

1949年 アメリカ Manhandled
ルイス・R・フォスター監督&脚本 ホイットマン・チャンバース脚本 アーネスト・ラズロ撮影 ダレル・カルカー音楽 ドロシー・ラムーア ダン・デュリエ スターリング・ヘイドン アイリーン・ハーヴェイ フィリップ・リード


ある作家が、妻を殺す夢を見ると精神科医に助けを求める。直後、妻が夢と同じように殺され……。

・<叫哭の世界>8本目。うーん、これも前作「恐怖の一夜」同様ノワールとは言い難い。それどころかこれはジャンルの選択に困る。これはコメディか? しかしそれにしては真面目な面もある。犯罪映画ではあるが、犯人の特定も経過もあまり意味がない。そうか、自信過剰で下手な詐欺師の物語か。
・一応、探偵役は調子のいい保険会社。彼も詐欺師と同様お調子者だが詐欺師と違って有能ではある。その中間に警部とヒロインがいる。警部は事件よりも奥さんに頼まれた買い物ばかりを気にしているし、彼の乗るパトカーはブレーキが壊れており、部下はそれを直そうと頼んでいる。睡眠薬の効用を調べるために自分で飲んでフラフラになったりする。これらどれもコメディ・タッチ。詐欺師の口車にすぐ乗ってしまう。これらどれもコメディ・タッチ。
・一方、ヒロインの方はコメディでなくロマンス担当だが、詐欺師に騙されて窮地に立ち、保険会社に助けられる役柄。
・そして、上記あらすじにある設定は発端だけでほとんど意味を為さず、かろうじて殺人犯の正体が暗示されているだけで、実はそれはこの映画のメインではないのだ。殺人犯がメインではない、というのはこの映画をサスペンス映画と期待するなら大いに期待ハズレだろう。いや、意図はいいかもしれないが、コメディ・タッチにしたところで、良くも悪くもこの映画を変質させてしまったと言えるだろう。



hirot15 at 19:33|PermalinkComments(0)

2022年10月17日

虐殺の街

1950年 アメリカ Dark City
ウィリアム・ディターレ監督 ハル・B・ウォリス製作 ローレンス・B・マーカス原案&脚本 ケティ・フリングス/ジョン・メレディス・ルーカス脚本 ヴィクター・ミルナー撮影 フランツ・ワックスマン音楽 チャールトン・ヘストン リザベス・スコット ヴィヴェカ・リンドフォース ディーン・ジャガー ジャック・ウェッブ

ポーカーで大金を擦った男が自殺した。男の兄は復讐のため、ポーカー仲間たちの命を狙う。


・<叫哭の世界>の6本目でチャールトン・ヘストンの映画デビュー作とのこと。ヘストンはデビュー時から貫禄を見せると同時にアンチヒーローとして登場している。冒頭から警察の手入れから上手い具合にすり抜けるキャラ。彼はカモの旅行者を相手にポーカーで大金の小切手を巻き上げるが相手は自殺してしまい、被害者の兄が彼を含めたポーカー仲間に復讐を始める。
・ここで彼らのやったポーカーはエサを蒔くためにわざと手札を落として相手を油断させることはやっているが、あからさまなイカサマは描写されていない。このようにヘストンの役柄は常に灰色の印象。彼の恋人役がリザベス・スコットで、彼女がハスキーな歌声でジャズの名曲を披露してくれるのも楽しいのだが、彼女に対する態度も灰色で、実際、中盤には自殺した男の未亡人と良い仲になりかける。これがリザベス・スコットよりずっと若く、見ている方もやきもきしてしまう。
・仲間が次々殺され、しかも未亡人によってこの自殺者の兄が異常者であることを知らされ、しかも相手の男の人相さえもわからない。未亡人はこの異常者を嫌って彼の写真を全て捨ててしまったと告白するのだ。
・ヘストンは彼を返り討ちにしようと画策するのだが、裏をかかれてクライマックスに至る。
・ヘストンが颯爽とした活躍をしないところに感心した。最後まで彼はヒーローではないのだ。
・ただ、この邦題はちょっと的が外れているような。原題からの変換違い(意味のズレ)のような気がする。
・監督のウィリアム・ディターレは「十字砲火」のエドワード・ドミトリクと勘違いして良い印象はなかったのだけど、「ノートルダムの瀬虫男」(チャールズ・ロートン)「ジェニーの肖像」の人なのでしたね。このようなノワール作品でもなかなか良い味を出していました。繰り返すけど、リザベス・スコットのジャズ・ヴォーカルが数曲堪能できます。



hirot15 at 22:57|PermalinkComments(0)

2022年10月12日

スキャンダル・シート

1952年 アメリカ SCANDAL SHEET
フィル・カールソン監督 サミュエル・フラー原作 テッド・シャードマン/ユージン・リング/ジェームズ・ポー脚本 バーネット・ガフィ撮影 ジョージ・ダニング音楽 ブロデリック・クロフォード ドナ・リード ジョン・デレク ローズマリー・デキャンプ ヘンリー・オニール ハリー・モーガン ジェームズ・ミリカン グリフ・バーネット ジョナサン・ヘイル

昔捨てた妻に出くわしてしまった新聞社の編集主幹。過去の正体をばらすと言われ、事故死に見せかけて殺してしまう。その事件を部下の敏腕記者が追い始め……。

・<叫哭の世界>の2本目で、ドナ・リードとかジョン・デレクは一応知っているが、監督のフィル・カールソンは名前くらいしか知らなかったのだが(昔「ベン」(ウィラードの続編)は見ていたが、「サイレンサー・シリーズは未見だった)、予想外の面白さ。おっと、原作がサミュエル・フラーと知って二度驚いた。さすがサミュエル・フラーという構造。
・悪辣新聞社(昔は正統派の新聞だったが、新編集長の方針でスキャンダル紙になっている)の悪辣編集長ブロデリック・クロフォードと彼を尊敬する記者ジョン・デレク、その記者の恋人ドナ・リードは社の方針に辟易としていたが。この舞台からしてフラーのお得意とするものだが、この編集長が殺人を犯してしまい、それを隠ぺい工作をした後、自らの新聞でスクープにしてしまうのが凄い(そのスクープを持ち込むのがジョン・デレク)。更にここにアル中で落ちぶれた元敏腕記者のヘンリー・オニールが絡んでくる。このヘンリー・オニールがウォルター・ブレナンほどではないにせよ良い味を出している。
・とにかく自らの殺人を記事にして部数拡大をする編集長のバレるか乗り切るかのスリル(勿論、最後はバレるに違いないことを観客は知っている倒叙形式だが、そのスリルは充分味わえる)。一方で、腹がたつほど間抜けなハンサム記者。そんな恋人を見限れない(見限りかけるが)ドナ・リードという構図。
・とにかくジョン・デレクの間抜けぶりは、彼がハンサムなだけに余計に腹がたつ。つまり、三枚目が間抜けを演ずるとか、ライバル役が間抜けを演ずるのは納得するが、一応、彼は探偵役なのだ。これなら彼を出し抜いてドナ・リードが名前の通りリードしろよと思ってしまうが、それが出来ないのがヒロインという立場のお約束なのだろう。
・間抜けな記者は、目撃者のアル中をこともあろうに犯人である編集長に会わせるのだが、ここで編集長がしらばくれて、このアル中に正体がバレるかバレないかというサスペンスがなかなかのもの。これがクライマックスにも効いてくる。
・多分、サミュエル・フラーでなくフィル・カールソンという職人(申し訳ないが、悪い意味で)が監督したからこれだけスッキリした映画になってしまったのだろうな、とは思うけど、その毒の部分をブロデリック・クロフォードだけが見事に演じきっている。



hirot15 at 19:57|PermalinkComments(0)

2022年10月11日

森の彼方に

1949年 アメリカ BEYOND THE FOREST
キング・ヴィダー監督 スチュアート・D・イングストランド原作 レノア・コフィ脚本 ロバート・バークス撮影 マックス・スタイナー音楽 ベティ・デイヴィス ジョセフ・コットン デイヴィッド・ブライアン ルース・ローマン ドナ・ドレイク レジス・トゥーミイ

田舎町に医者の夫と暮らす女性。田舎暮らしに辟易する彼女の不満は次第に募り……。

・「叫哭の世界」の4本目。前作に続き悪女物だが、本作の悪女はベティ・デイヴィス。前作の質の悪い悪女とはモノが違う。こちらは彼女の感情もよく分かる。夫のジョゼフ・コットンは前作のロビンソンと同じ善良な男だがロビンソンとは違い、有能な医師、ただしデイヴィスにとって退屈な町での金儲けにも興味がない。そんな状況の中で彼女はシカゴの金持ちと不倫に走る。ここでまず面白いのは、彼女をおいて出産に向かう夫が彼女を任せた親友の男にわざと酒を与えて酔いつぶれさせ、男の持つロッジでぬけぬけと浮気を楽しむのだ。男の見つけやすいところに酒を(形ばかり隠して)置く行為に最初は観客は何事かわからないのだが。退屈な町の人々と彼女の相性の悪さ、召使のインディアン女も仕事はするが互いに軽蔑し合っている。彼女は勝手に夫が取り立てなかった治療費を取り立てて、恋人のいるシカゴに行くのだが。この悪女と、ぎりぎり我慢と許しを与え続ける夫のジョゼフ・コットンが、前作とは違い、ある程度納得のいく展開で描かれる。まあ、コットンが彼女を許し続けるのだが、ロビンソンとは違い精神錯乱には陥らない。彼が譲歩しないのは授かったまだ生まれる前の赤ん坊の命を守る事だけだったのだろう。
・映画の序盤で彼女に酒を飲まされて利用されたコットンの親友はその中盤、この映画の一つのクライマックスで見事に彼女の企みを見抜くという悲劇的役柄となる。
・映画は冒頭のイントロダクションで悪女を描く事を言い切っており、そして彼女の末路もまた示唆しているわけで。このベティ・デイヴィスのエンディング、死に様は冒頭の示唆通りに示唆通りに凄まじい。

・この映画はベティ・デイヴィスのワーナー専属という縛られた契約の最後の作品であり、翌年、彼女は「イヴの総て」でカンヌの女優賞を獲得している。



hirot15 at 21:27|PermalinkComments(0)