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2004/11/25
本BLOGの公開を
開始しました。
映画は、今世紀に入って
ほとんど劇場では
見ていません。
主にDVD、CS、BS放送
による観賞です。
表題後ろにあるのが評価で、
前は客観点(出来の良さ)、
後は主観点(好き嫌い度)。
A-Eにするつもりですが
客観・主観とも
Cが及第点として、
Aが最高評価
Eが最低評価
とお読みください。
よろしくお願いします。

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hiro


2021年01月28日

若草物語(1949)

1949年 アメリカ(MGM) Little Women
マービン・ルロイ監督&製作 アンドリュー・ソルト/サラ・Y・メイソン/ビクター・ヒアマン脚本 ルイザ・メイ・オルコット原作 ロバート・プランク/チャールズ・エドガー・シェーンバウム撮影 アドルフ・ドイッチ音楽 ジューン・アリソン ピーター・ローフォード マーガレット・オブライエン エリザベス・テイラー ジャネット・リー ロッサノ・ブラッツィ メアリー・アスター ルシル・ワトソン C・オーブリー・スミス エリザベス・パターソン レオン・エイムズ ハリー・ダベンポート リチャード・スタップリイ

ルイザ・メイ・オルコットの「リトル・ウイメン」の映画化で、マーヴィン・ルロイが、テクニカラー色彩映画として製作監督した1949年作品。

・「ストーリー・オブ・マイ・ライフ」を見た後、これまでの「若草物語」映画化作品を見てみた。日活版は別として(四姉妹と言うだけでまるで別物。原作表記も無い)、最後に見た本作は何度か再見した作品で、本作が一番秀作という確信があったのだが。今回、これ以外の作品を見て、その確信が薄れた。特に最初のジョージ・キューカー(キャサリン・ヘプバーン主演)版は、原作が同じということを別にしても明らかに本作のオリジナル版であり、逆に言えば本作が明らかなリメイクであるということ。それはその後の作品(勿論、原作は同じ)と比べてみれば明白だ。勿論、エピソードに異同はあるが、構成はほとんど同じだ。キューカー版で最も能動的ジョーであると書いたが、本作のジューン・アリスンもフェンシングこそしないものの、充分能動的ジョーは意識されている(冒頭で塀を飛び越えるのを失敗してやり直すところなど)。
・僕はリメイクを下な見るつもりは無い。実際、僕が最も愛する監督たちの多くはリメイクの名手でもある。そしてこのマーヴィン・ルロイも明らかに優秀な監督であり、このリメイクも見事だ。ただ、感じたのは、今回のリメイクの特徴はオリジナルよりもソフトに感触よくしたということだろう。例えばローリーとエイミーの連続したショックも、キューカー版よりも柔らかく、しかもこの結末をジョーは予見していた雰囲気を出している(ローリーはジョーの洞察を否定したことを謝罪している)。ベスの死の描写も、ベスが最初に猩紅熱にかかったシーンもあっさりしているし、キューカー版における死後にベッドと人形に花を散らすシーンさえ無く、死の予感のシーンはあっても死のシーンは無い。
・ただし、一方で最も本作が秀逸なシーンは、その死を描く代わりに、ベスがジョーに死の予感を話すシーンの凄さだ。まさにマーガレット・オブライエンの真骨頂(前にも書いたが、「若草の頃」と全く対照的なキャラを熱演している)。
・ちなみに、本作のキャスティングは僕より一つ前の世代の観客にはベストだろう。(僕達の世代だとウィノナ・ライダー版がその世代のベストキャスティング) ジョーを演ずるアリスンは勿論、長女がジャネット・リー、末娘(原作だと)のエイミーがエリザベス・テイラー。ちなみに母親は「若草の頃」と同じメアリー・アスター(彼女も最も柔らかい母親だったと思う)。エリザベス・テイラーは鼻に洗濯バサミを挟むシーンが有名だが、ジョーに怒って原稿を焼いてしまうエピソードはないし、関係もソフトだ。ジャネット・リーも無難に演じているが、最も目立たないキャラかもしれない。(求婚を受け入れるシーンはキュカー版と同じだが、そのシーンのみが彼女のハイライトに思える)
・もう一つ、本作がソフトである肝心な点は、一家に宗教色を出さなかったことだろう。多くの映画はこの一家の厳しい宗教観を背景にしているが、それが一切無い。
・そして、この後の二作が、その後の物語(原作の続編以降)であるやがてジョーが学校を作るというエピソードも最初の二作には無い。原作を正編としているのだから間違いではないが、それにより、二作共、教授を引き止めるシーンに使われなくなってしまうという欠点もあった。

・とりあえず、僕が見る「若草物語」の映画はこれで終りと言うことで、全体を総括すると、初見の時に全く響かなかったウィノナ・ライダー版(現在見られる三番目の映画化)は、今回もかなり無難な演出だと思ったが、結果的にこの作品が小説「若草物語」に最も忠実な映画化と思った(おいおい、俺は原作読んでいないのにそんなこと言っていいのか?)。「若草物語」におけるいくつかのキーポイントがほとんどクリア(映像化)されていたと思う。初期二作との違いは、学校経営(叔母の家をジョーが相続した)ことによって、結末の教授とのシーンにしっかりした背景が出来たことは、四作見直した後ではかなり大きな要素だ。それにエイミーの役をキルスティン・ダンストとサマンサ・マシスと、年齢による二役にしたのも原作に忠実で成功している。キルスティン・ダンストが馬車の中でのローリーとの会話が結果的に実現してしまうのにも感心した。ちなみに、本作(アリスン版)では、これまでの僕の印象ではベスが末娘と思っていたのだが(もう少し幼いオブライエン)、今回見直して(前三作を見て、ベスが三女でエイミーが末娘と分かって)、注意深く見たつもりなのだが、エリザベス・テイラー演ずるエイミーとオブライエン演ずるベスのどちらが姉妹か、分からなかった。勿論、オブライエンが幼く、テイラーのおませぶりがその原因なのだろうけど。
・最新作の「ストーリー・オブ・マイ・ライフ」は異色作・野心作であり、過去と現在を混在させる試みはそれなりに成功しているし、面白かったのだが、原作に忠実という意味では違っているだろう。
・結果、四作総て、一長一短あり。(今回僕がしたように)一度に全部見ても楽しめる作品と思う。
・感動的時間だった。



hirot15 at 22:32│Comments(0) 洋画 | 文芸

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