ようこそ hirot'sBlog へ

2004/11/25
本BLOGの公開を
開始しました。
映画は、今世紀に入って
ほとんど劇場では
見ていません。
主にDVD、CS、BS放送
による観賞です。
表題後ろにあるのが評価で、
前は客観点(出来の良さ)、
後は主観点(好き嫌い度)。
A-Eにするつもりですが
客観・主観とも
Cが及第点として、
Aが最高評価
Eが最低評価
とお読みください。
よろしくお願いします。

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hiro


2019年02月

2019年02月28日

征服されざる西部

1959年 アメリカ Horizons West
バッド・ベティカー監督 ルイス・スティーブンス原作&脚本 チャールズ・P・ボイル撮影 ジョセフ・ガーシェンソン音楽 ロバート・ライアン ジュリー・アダムス ロック・ハドソン ジョン・マッキンタイア ジュディス・ブラウン レイモンド・バー フランセス・バビア デニス・ウィーバー ジェームズ・アーネス

南北戦争が終り、ダン・ハモンド少佐(ロバート・ライアン)、ニール・ハモンド中尉(ロック・ハドソン)、ティニー・ギルガンの3人はテキサス州のオースティンに戻って来た。ダンは附近の牧場主イラの長男で、ニールは養子。ダンは牧場経営より一獲千金を狙っていた。彼はオースティンに行き、ボスのハルディン(レイモンド・バー)の妻ローナ(ジュリー・アダムス)と恋におちた。ダンにはサーリイ(ジュディス・ブラウン)という彼を慕う女性がいた。が、ダンは彼女を嫌った。やがてニールはサーリイの美しさにひかれ、愛しあうようになった。ダンは友人フランクと賭博場に行った。そこでハルディンに5千ドル負けた。借金を申しこんだダンはハルディンに罵倒され、夫の非情な仕打ちを見たローナはダンに好意を持った。ダンは戦友ダンディと家畜泥棒の仲間に入った。

・明らかにロバート・ライアンが主人公なのに、彼が段々と悪に染まっていく、多分当時としては珍しい西部劇。しかもヒロインのジュリー・アダムスもそれに加担している。
・登場時には普通のヒーロー然として登場したライアンだが、ジュリー・アダムスをめぐっていかにも悪役然として登場したレイモンド・バーとの対立から、牛泥棒に走る。それでも、その後、レイモンド・バーとの対決まではそれなりにヒーローとして振る舞い、レイモンド・バーを倒しても正当に裁かれることはなかく(牛泥棒であることは隠してだが)、このまま方向転換していくのかと思ったら、逆にこの後はレイモンド・バーに代わってどんどん悪役然となっていく。
・ここで義弟のロック・ハドスンと主役交代かと思いきや、このロック・ハドスンもヒーローになりきれないまま終ってしまう奇妙な西部劇は、いかにもバッド・ベティカーらしいと言うべきか。
・兄弟で戦ってはいけないと父親が息子を止めようと出かけていく姿が本作で最も感動的シーンかもしれない。その後、父親と息子と義理の息子の三つ巴の対決となるのだが、そこで決着をつけきれないところが何と言うか。消化不良というべきか。この結末の後、馬で去っていくところで、人の乗らない馬が彼らについていくところが何とも哀しい。
・一方で、ロック・ハドスンが養父を継いで牧場経営している、いかにもハッピー・エンドという終り方も何と言うか・・・・



hirot15 at 23:49|PermalinkComments(0) 洋画 | 西部劇

2019年02月27日

検察側の罪人

2018年 東宝
原田眞人監督&脚本 雫井脩介原作 柴主高秀撮影 富貴晴美/土屋玲子音楽 木村拓哉 二宮和也 吉高由里子 平岳大 大倉孝二 八嶋智人 音尾琢真 大場泰正 谷田歩 酒向芳 矢島健一 キムラ緑子 芦名星 山崎紘菜 松重豊 山崎努

都内で発生した犯人不明の殺人事件を担当することになった、東京地検刑事部のエリート検事・最上と、駆け出しの検事・沖野。やがて、過去に時効を迎えてしまった未解決殺人事件の容疑者だった松倉という男の存在が浮上し、最上は松倉を執拗に追い詰めていく。最上を師と仰ぐ沖野も取り調べに力を入れるが、松倉は否認を続け、手ごたえがない。沖野は次第に、最上が松倉を犯人に仕立て上げようとしているのではないかと、最上の方針に疑問を抱き始める。

・キムタクとニノの共演は多分AMAPが解散したから実現したのだろうけど、確かに驚いたけど、それより何より原田眞人が監督したということに驚き、期待した。
・それとタイトルの意味深さ。当然、「検察側の証人」(アガサ・クリスティの小説・戯曲/映画は「情婦」)を思い浮かべるだろうけど、証人でなく罪人とは、しかもそれが検察側なのだ。と、すればある程度展開は見えてしまうのでは、という不安。それはある程度当たっていた。それと、キムタク、ニノの二人とも検察側であるが、まあある程度、配置は読めるし、どちらがどちらかも推察出来る。実はそれほどミエミエの映画で、唯一、ジョーカーらしいのが吉高由理子。彼女も検察官の事務官なのだが、実は潜入ルポライター。スパイとまでは言えないだろうが、検察官の問題点を探っている。それがどのように作用するか。
・結果として、原田眞人は信頼出来、実際に面白く描かれている。ただし、それでも結局は事前の推測が覆ることはなかったのが残念。
・ただ、松重豊、酒向芳(この人は全然知らなかった)という二人の容疑者の個性が強烈で面白かった。




hirot15 at 23:48|PermalinkComments(0) 邦画 | ミステリ

2019年02月26日

花筐/HANAGATAMI

2017年 新日本映画社
大林宣彦監督&脚本 檀一雄原作 桂千穂脚本 大林恭子製作 三本木久城撮影 山下康介音楽 窪塚俊介 矢作穂香 常盤貴子 満島真之介 長塚圭史 山崎紘菜 柄本時生 門脇麦 村田雄浩 武田鉄矢 入江若葉 南原清隆 小野ゆり子 岡本太陽 豊田邦子 原雄一郎 根岸季衣 池畑慎之介 細山田隆人 白井美海 大川竜之助 大塚康泰 片岡鶴太郎 白石加代子 高嶋政宏 原雄次郎 品川徹 伊藤孝雄

1941年、春。佐賀県唐津市の叔母のもとに身を寄せている17歳の俊彦は、アポロ神のような鵜飼、虚無僧のような吉良、お調子者の阿蘇ら個性豊かな学友たちと共に「勇気を試す冒険」に興じる日々を送っていた。肺病を患う従妹・美那に思いを寄せる俊彦だったが、その一方で女友達のあきねや千歳と青春を謳歌している。そんな彼らの日常は、いつしか恐ろしい戦争の渦に飲み込まれていき……。

・珍しく映画館で見た後の再見。圧巻。今回は二日続けて、見返したが飽きることはなく、レンタルを返すのに未練を残す。
・道化役を買って出ている柄本時生を除く主要七人の恋模様は入り乱れている。そこには常磐貴子までも含まれているのだ。彼女がダンス会で、裸足で踊りながら現れるシーンのエロチックさ。何度も何度も繰返される断片。
・初見時にそれなりに感想を書いていて、読み返すと、ほとんど書かれているのでこれ以上書く必要はあるまい。

・しかし、前二作のDVD化がかなり時間がかかったのに対して、本作の予想外早いリリースは、前二作がじっくりと地方巡業上映を続けたのに対し、本作撮影中に大林の癌が宣告され、時間が無いことへの危機感(早く次作にかからなければ)が、そうしたじっくりとした巡業よりも新作撮影が優先されたからかもしれない。実際、wikiによれば既に新作「海辺の映画館―キネマの玉手箱―」が秋公開が予定されており、更にその次の作品「つばき、時跳び」も今年撮影が予告されている。癌については、余命三ヶ月まで宣告されながら(「花筐」撮影中)、治療がうまくいって、余命未定になったとしている。これは治療もさながら、映画を撮ることへの執念が病を食い止めているように感じる。なお、「海辺の映画館」はやはり原爆をテーマにしているらしいが、20年ぶり尾道ロケをしたとのこと(大林は尾道と険悪な関係になっていたのだが)、次の「つばき、時跳び」は久々にSF娯楽作品になるらしい(原作有り)。
・まだまだ活躍を続けて欲しいものだ。



hirot15 at 23:47|PermalinkComments(0) 邦画 | 文芸

2019年02月25日

否定と肯定

2016年 イギリス/アメリカ DENIAL
ミック・ジャクソン監督 デボラ・E・リップシュタット原作 デイヴィッド・ヘア脚本 ハリス・ザンバーラウコス撮影 ハワード・ショア音楽 レイチェル・ワイズ トム・ウィルキンソン ティモシー・スポール アンドリュー・スコット ジャック・ロウデン カレン・ピストリアス アレックス・ジェニングス

1994年、イギリスの歴史家デビッド・アービングが主張する「ホロコースト否定論」を看過することができないユダヤ人女性の歴史学者デボラ・E・リップシュタットは、自著の中でアービングの説を真っ向から否定。アービングは名誉毀損で彼女を提訴するという行動に出る。訴えられた側に立証責任があるイギリスの司法制度において、リップシュタットは「ホロコースト否定論」を崩す必要があった。そんな彼女のために組織されたイギリス人大弁護団によるアウシュビッツの現地調査など、歴史の真実の追求が始まり、2000年1月、多くのマスコミの注目が集まる中、王立裁判所で歴史的裁判が開廷した。

・社会派ドラマであることは分かっていたけど、監督のミック・ジャクソンが娯楽派だからそれなりエンターテインメントを期待したのだけど、確かに娯楽映画にはなっているものの、期待したものはなかった。
・本作の唯一の面白さは、イギリスの裁判制度で、イギリスでは被告側が立証しなければならないという。今回の場合、ヒロインは訴えられた被告であるから、彼女の弁護士が証明しなければならないわけで。
・しかし、本作が盛り上がらず、ひたすらストレスを感じるのは、歴史学者である彼女自身の発言を弁護士の法廷戦術で禁止されてしまっていること。だから彼女は法廷で見ているだけなのだ。更に弁護士はアウシュビッツの被害者の証言もさせない。つまり、法廷戦術が結果として正しいのであろうが、映画としてはあまりに地味過ぎるわけで。実話だから仕方ないとはいえ、これなら結果だけしればそれでいいという感じ。
・裁判内容も、ホロコースト自体の証明は途中からおいていかれて、原告の嘘とレイシスト(ユダヤ差別、女性差別等)ぶりの証明になってしまう。
・クライマックスである判決も、法廷の前に弁護士は知ることが出来るとか、ドラマチックな要素が単なる見せかけになってしまう。判決直前の裁判官の人柄が示される(どうやら公平ではないらしい?)も結果として何の機能もしなかったし(したら困るが)。



hirot15 at 23:58|PermalinkComments(0) 洋画 

2019年02月24日

ダンシング・ベートーヴェン

2016年     スイス/スペイン DANCING BEETHOVEN
アランチャ・アギーレ監督 モーリス・ベジャール振付 ルドウィッヒ・ヴァン・ベートーヴェン音楽 マリヤ・ロマン エリザベット・ロス ジュリアン・ファバロー カテリーナ・シャルキナ 那須野圭右 オスカー・シャコン 大貫真幹 上野水香 柄本弾 吉岡美佳 クリスティン・ルイス 藤村実穂子 福井敬 アレクサンダー・ビノグラードフ ジル・ロマン ズービン・メータ モーリス・ベジャール・バレエ団 、 東京バレエ団 、 イスラエル・フィルハーモニー管弦楽団

2007年に逝去したフランスの天才バレエ振付家モーリス・ベジャールの代表作「第九交響曲」の舞台裏をとらえたドキュメンタリー。「ベジャール、そしてバレエはつづく」のアランチャ・アギーレ監督が、ベジャール・バレエ団と東京バレエ団、世界的指揮者ズービン・メータ率いるイスラエル・フィルハーモニー管弦楽団が奇跡の共演を果たした東京公演に密着。21世紀のバレエ史上最高傑作と称されたステージが完成するまでの度重なるリハーサル風景をはじめ、ベジャールの後継者ジル・ロマン芸術監督のもとでベジャール・バレエ団が新たな一歩を踏み出す様子、さまざまな文化的背景を持つダンサーたちがそれぞれの思いを抱えながらステージに挑む姿を映し出す。

・なかなか面白かったけど、正直、このような練習が断片的に映されるメイキングより本編全編の方を見たくなり、即座にアマゾンに注文してしまった。
・それでも出産を優先させて出演を断念したり、或は捻挫するシーンが映され、彼女は軽い捻挫と診断されながら、やはり東京公演を断念させられたり、という悲哀。
・第九はもしかしたら最も好きなクラシックかもしれない(いや、「アマデウス」を見たらモーツァルトが、とかブラームスを聴けばブラームスが、とか、いやブラームスは一番にはならないな)。
・その第九を僕が意識したのは、「時計仕掛けのオレンジ」の映画で、主人公のアレックス(マルコム・マクダウェル)の陶酔するシーンと、ルドヴィコ療法の映像が、これまでの僕にとっての第九の映像だったのだが、この映画はそれと完全に切り離される程新鮮だった。



hirot15 at 23:57|PermalinkComments(0) 洋画 | ミュージカル・音楽

2019年02月23日

無伴奏

2015年 日本
矢崎仁司監督 小池真理子原作 武田知愛/朝西真砂脚本 石井勲撮影 田中拓人音楽 成海璃子 池松壮亮 斎藤工 遠藤新菜 松本若菜 酒井波湖 仁村紗和 斉藤とも子 藤田朋子 光石研

実在した喫茶店「無伴奏」を舞台に、時代に流されて学園紛争に関っていた多感な女子高校生の成長を描く。日本中の学生たちが学生運動を起こしていた1969年の仙台。同級生とともに学園紛争を行っていた女子高校生の響子は、友人に連れられて足を運んだ喫茶店「無伴奏」で、大学生の渉とその仲間たちと出会う。パッヘルベルの「カノン」をリクエストする渉に興味を抱いた響子は、次第に渉に強く惹かれていく。

・多分、リアルに当時を経験していたであろう小池真理子原作で当時を描いた作品であろうが。ちなみに僕自身は小中学生時代にニュースでしか知らない世界が、大学で今なお学生運動時代の余韻を初めて感じて、改めて当時を思い返したのですが。
・しかし、今、当時を描く映画はこうなるのか、と。現在形のLGBT問題が入るのは分かると同時に、LGBTという記号が無い時代に描かれていたら、全く違っていたのではないか。そういう意味で、もしかして遅過ぎた作品なのかもしれない。
・かつて若松の「われに撃つ用意あり」で、時代に取り残された悔いを感じた僕は、この作品で、こうなってしまうのか、と。ギリギリ、僕がその時代とつながると感じたものは、本作で、同じ自体を描いたと思いながら、そのつながりは感じないのが残念です。
・多分、学生運動という社会的変動が、個人的問題に転移しさせてしまったところにこの作品の弱さがあるのだと思います。



hirot15 at 23:56|PermalinkComments(0) 邦画 | ドラマ

2019年02月22日

切り裂き魔ゴーレム

2016年 イギリス THE LIMEHOUSE GOLEM
フアン・カルロス・メディナ監督 ピーター・アクロイド原作 ジェーン・ゴールドマン脚本 サイモン・デニス撮影 ヨハン・セーデルクビスト音楽 ビル・ナイ オリビア・クック ダグラス・ブース ダニエル・メイズ サム・リード マリア・バルベルデ ヘンリー・グッドマン モーガン・ワトキンズ エディ・マーサン

ロンドンで連続殺人事件が発生し、容疑者として4人の名前が挙がった。その中には日記に殺人の美学をつづっていた脚本家クリーもいたが、彼は既に別の事件で死亡しており、女優である妻がクリーを毒殺したとして逮捕されていた。連続殺人事件を追う刑事キルデアは、クリーの妻の裁判の行方を見守るうちに彼女の無実を確信。彼女に言い渡された絞首刑が執行されるまでのわずかな時間で、夫殺しの真犯人と連続殺人事件の真相を追う。

・キワモノと覚悟して見たら、意外に真っ当なゴシック・ミステリだった。タイトルのゴーレムは、切り裂きジャックと置き換えればいい。四人の容疑者の中にカール・マルクスがいるが、それに期待してもそれほど意味は無い。主人公の警部キルデアは男色がほのめかされ、それによって損な役回りと言うことになっているが、それもそれほど活かされてはいない。しかし、彼が取り調べるリジーは実に魅力的なヒロインだった。
・ほとんど、リジーの証言(回想)と、それを検証するキルデアということで展開していくが、一方でゴーレムの正体を探すことと、リジーの無実を証明しようとすること(本当はそれは彼の担当ではない)。その間にもリジーの裁判は進行し、最後は彼女が絞首刑台に上がるところまでいってしまう。果たしてキルデアは間に合うのか。
・リジーと、彼女に容疑がかかった死んだ夫、そしてリジーが犯人であることをほのめかすメイドがかつての女優仲間(というよりライバル)であること、そしてリジーを女優として開花させた有名コメディアンのダン・リーノ、この四人の関係性の変化が面白かった。それと、夫の書きかけの戯曲(コメディエンヌであるリジーは、この戯曲の主役をしてコメディエンヌから脱して舞台女優になるために結婚したようなものなのだ)を勝手に上演して大失敗となるが、それがこの事件により、大成功に転じる結末にもう一捻りさせるのには感心した。



hirot15 at 23:55|PermalinkComments(0) 洋画 | ミステリ