ようこそ hirot'sBlog へ

2004/11/25
本BLOGの公開を
開始しました。
映画は、今世紀に入って
ほとんど劇場では
見ていません。
主にDVD、CS、BS放送
による観賞です。
表題後ろにあるのが評価で、
前は客観点(出来の良さ)、
後は主観点(好き嫌い度)。
A-Eにするつもりですが
客観・主観とも
Cが及第点として、
Aが最高評価
Eが最低評価
とお読みください。
よろしくお願いします。

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プロフィール

hiro


2013年03月

2013年03月31日

お知らせ

検索にヒットして本画面に来た方へ。
現在、検索にヒットした元のドリコムブログは閉鎖されたため、自動的に引っ越し先である本ブログのトップにジャンプしております。誠にお手数ですが、改めて本ブログ左の記事検索により再検索していただければ、検索語を含むブログに到達しますので、よろしくお願いいたします。二度手間かけて申し訳ありません。



hirot15 at 23:59|PermalinkComments(0) ETC 

千代子さんの事

 前略

 先日は妹(北川昌子)が唐突な電話で怒らせてしまったようで申し訳ありませんでした。私は昌子の兄の辻川義博というものです。
 改めて、この書面にて、経緯を説明させていただきます。

 まず、私と妹は、亡くなった米田千代子さんの従兄弟にあたるものです。千代子さんの母親の妹が私達の亡き母になります。ただ、母と千代子さんは年齢的に近かった為、叔母と姪というよりは、姉妹のような感覚でつき合っていたように思え、また私達も従兄弟というよりは叔母のような感覚でつき合ってもらっていました。私達が小さかった頃は、交流も盛んで、よく一緒に旅行等にも行って可愛がってもらっていました。
 ただ、母は亡くなるまでとても近しくしていましたが、私達はさすがに成人してからは時々会う程度で、母の死後は母の命日を含めて年に一、二度会う程度でした。
 千代子さんには、異父姉妹で石森邦子、川本道子、駒井天子という三姉妹がいますが(長男中村国正は亡くなっています)、残念な事に、生前仲違いをしており、倒れた後も直接世話をする事は拒絶されました。ただ、私達は千代子さん同様に従姉同士として親しくつき合っていたため、間接的には助力してくれました。更に、母の兄・酒井英一も老齢ながら健在で、裕子、英光、謙次(仙台在住で叔父の英一はここで暮しています)という従兄弟もおり、本来ならば、私達兄妹より近い存在なのですが、前述通り、私達の母が特に千代子さんと仲が良かった事もあり、また千代子さんは自分にもしものことがあった場合は、私達に頼むということを、旅行の折々に頼んでいましたので、今回、私達が世話を引き受ける事になりました。ただ、以下に記す千代子さんについての治療方針や葬儀等の対応は基本的に全て姉妹・従兄弟と相談の上、総意として行いました。

 さて、千代子さんが脳梗塞で倒れたのは、ほぼ一年前の2011年2月24日、奇しくも翌25日が酒井の叔母の7回忌で叔父英一達が久々に東京に出てきて、親族が集まった日のことでした。出席予定の千代子さんが無断欠席をしたため、不審に思った妹が家まで見に行って、倒れている千代子さんを発見し、救急車を呼びましたが、その時点でほとんど絶望状態、後から駆けつけた謙次(医師です)もその時点で無駄な延命をしないようにと進言したのですが、運ばれたところが救命救急センターだったため、進言も実らず、ほとんど植物人間状態で生き延びることになってしまいました。(正確には植物人間とか脳死とかではなく、半身不随で生き延びた後は、生きてはいても意識は戻らず、目は開いていても動きを反射的に追うだけの状態になってしまっていました)
 実はこの状態は生前、本人が最も怖れていた事で、そのような状態になる前に死にたい旨は何度も聞いていて、実際、後で千代子さんの家に健康保険証を捜しに行った際、先に亡くなった夫米田弘さんの延命拒否の書面は見つけたのですが、本人の書面は見つからなかったため、救命で運ばれた杏林病院、その後転院した三鷹病院にも、その旨、伝えたのですが、三鷹病院では結局、最低限のケアをして、無理な延命はせず、蝋燭の炎が消えるように残った命を全うさせようということに入院方針をかためました。(それは最終結果であり、その過程では三鷹病院での六ヶ月が過ぎれば三ヶ月毎に病院を移らなければならないと聞いていて、療養病院を探したり、特別養護老人ホームをまわって最適な施設を探して申込手続きをしたりと飛びまわりました。三鷹病院が現在の方針の中では最後まで面倒を見てくれるということになった9月頃まではずっとそのように動いていました。三鷹病院は、現在の制度と、主治医の許可のもとでその方針を出してくれたもので、主治医が代われば、方針も変わるかもしれないと云われたものの、とりあえずはそのように落ち着き、結局、ちょうど一年ほどで千代子さんの命は燃えつきました)
 ただ、そんなおり悪く、私達の実父も同じ脳梗塞で倒れ、こちらは幸いなことに意識はあるものの、半身不随となり、やはり病院暮らしを余儀なくされることとなりました。現在はリハビリ病院におりますが、これもちょうどおり悪く、現在、転院手続きがいつ始まっても仕方ない状態にあります。千代子さんが亡くなるまでは、私が千代子さんの担当(支払いも兼ねて月三度見舞う)、妹が父の担当、互いに互いを補助するということでやってきました。(正直言えば、植物人間の千代子さんより、意識のある父の方が世話はかかります)
 さて、私達は、前述の通り、千代子さんの酒井側の親戚としか付き合いが無いので、そちらの関係と、あとは分かる範囲で千代子さんの友人の方々には、お別れをしてもらおうと動きましたが、残念ながら、米田側の親戚に付いては全く知りませんし、千代子さんの家を探しても、その痕跡を見つける事が出来ませんでした。私達もそれは気にならないではなかったのですが、邦子さん達に聞いてもはっきりしたことはわからず、また、そのことは死後に考えればいいことと云われたこともあり、結局毎日の煩雑さにかまけて、実際に処理を始めるのが、火葬の後ということになってしまいました。(ただ、この一年で、米田様側からの接触は、あなたさまからの年賀状一枚だけで、申し訳ありませんが、それも死後に米田側の手がかりを探すおりに見つけたものでした)
 結局、火葬の後、改めて邦子さんに米田側の親戚を知らないか尋ねたところ、一度法事に行った事があるという寺を探してくれ、その名前を知らせてくれた事により、寺に電話し、そこで教えてもらった他の親戚の方を経由して、やっとあなたさまに辿り着いてすぐに連絡したという次第です。
 ただ、生前、千代子さんが元気なときから、自分の墓は用意してあり、永代供養も含めて米田側のいとこに墓の世話を頼んであると聞いていたので、連絡の際、何も考えず、単にそちらに遺骨を渡そうと動いてしまいました。その結果が、先日の妹の電話という失礼な行為に及んでしまったわけです。しかし、よくよく考えてみれば、墓を整える事や、遺骨を墓に収めることは当方で行うべきことかもしれないと思い直しました。あなたさまにお願いすることは、それ以後の墓所の名義変更(現在は米田千代子名義になっていると思います)と、これまで通りのお世話、そして最後の永代供養の手続きの労を取っていただく事ではと。

 妹は電話の対応内容が悪かったと、さかんに悔いていましたが、遺骨を渡す事を急いだ(一度で済ませようとした)こと自体は、決して他意のある事ではなく、単に東京大阪という距離で、互いになるべく労力を少なく済ませようと云う気持ちから急いた結果でした。(前述通り、父の処遇の不安定さもあります)
 お気を悪くされたかもしれませんが、以上が、これまでの経緯です。

 これを読んだ上で、なお、事を荒立てようと思うなら、それはこちらの本意ではありませんが、こちらとしては、何もすることはありません。ただただ、そちらが納得いくまで調べていただければいいことだと思います。

 この書面にて、あなたさまがご納得いただき、改めて、相談に乗っていただければ幸いです。
どうぞご考慮お願いいたします。(現在のところ、3/15.16は予定が入っている為、それを除いた日付で御考慮頂ければ幸いです)
 よろしくお願いいたします。
早々

  辻川義博



hirot15 at 17:15|PermalinkComments(0)

夢売るふたり 

西川美和監督&脚本 松たか子、阿部サダヲ、田中麗奈、鈴木砂羽、安藤玉恵、笑福亭鶴瓶、木村多江、香川輝之、伊勢谷友介、倉科カナ

・さすが西川美和だけあって、導入から展開にかけては見事。夫婦がいかに結婚詐欺に手を染めるか、から、そのエスカレートまで、実にスムースに描き、同時に詐欺にあった側の描写もうまく描いている。
・阿部サダヲも松たか子も見事に役になりきっているし、素人の重量挙げ女子も上手い。金をせびろうとしているのに、彼女の方向性がいかに金を節約するかという方向に向かう事は、現実的なのだが、結婚詐欺側としては困ってしまうだろう。彼女はソープ嬢と対照的。その他、みんな出演陣は良くて、香川や鶴瓶の使い方も絶妙。特別出演でも、これなら観客側も満足でしょう。(一番分かり難いのは、田中麗奈の姉妹を演ずる倉科カナ?)
・ただ、問題は題材で、これは「ディア・ドクター」のように奇麗には終われなかったという印象。製作側としては精一杯のエンディングであることは分かるのだが、しかし後味は良くない。阿部サダヲを見守る、というより、何もかも放り出して逃げ去る松たか子の描写こそ、本来の結末、なのではなかろうか。しかし、勿論、そこで終る事は出来ず、阿部サダヲの結末は描かなければならず、そうなると松たか子もここで終らせる事は出来ずに蛇足を描かざるを得ないのだ。これまでの全ての作品の終り方が見事だっただけに、本作には消化不良感が残ってしまう。まあ、題材が悪いのでしょうが。「ディア・ドクター」と似て非なるテーマだということがよく分かる。まさか、結婚詐欺の相手を全て把握していて、成功したら返そうね、というのを実現して終る間抜けなハッピーエンドには出来ないしね。
・でも、充分楽しみましたけどね。

その日東京駅五時二十五分発



hirot15 at 01:18|PermalinkComments(0) 映画 

2013年03月30日

ドラマ時評2013冬

ビブリア古書堂の事件手帖
・視聴率も悪く、ミスキャストとも言われていたが、原作を未読の僕はそれなりに楽しめた。少なくとも剛力は悪く無い存在感だったと思う。安田成美の母親も上手い組み合わせだった。敢えて言えば、やはりARATAが弱いかな。本が読めないという設定の表現力が弱かった。各主題もなかなか良い。どこまで本当かは確認していないが、目新しいネタも多かった。(例えば江戸川乱歩でもポプラ社、光文社は知っていても、その前のお宝は知らなかった、とか。真実とは思わないが「押絵を旅する女」は秀逸)

ラスト・ホープ
・結構複雑な構成(原作1話完結の中で、各主人公たちの過去が挿入されている)で、ちょっとついていくのに苦労する一方、本筋の方は正直、それほどでもないのだけど、まあ、それなりに楽しめる作品だった。特に小日向(と桜庭の漫才)と多部未華子は名演だったと思う。

サキ
・これは初回だけでやめた。「美しき隣人」の二番煎じ(繰り返し)を狙った作品であり、初回だけで見るのが嫌になった。

相棒11
・全体的には凡庸なエピソードも多かったが、いくつか、秀逸なエピソードが混ざっているので、今回も見逃せない作品となった。最終回の一話前については思わず書いてしまったが、最終回も力作だった。ただ、やはり(奇しくも小林信彦も書いていたが)、岸部一徳の退場は大きく、石坂浩二がその穴を埋めされていないのが残念。最後のシーンで、その器の違いが描かれてしまっているわけで。岸部が最も大きな味方であり敵であったのと違い、石坂は見下されてしまっているのですね。あと、相棒という存在が三者三様になっているのは、まあ続ける以上、成功しているのでしょう。一方で、これまで敵対関係にあった刑事たちとの対立も表面的なもの(実は味方)になってきているのは仕方ないことなんでしょう。

シェアハウスの恋人
・これは意表を突かれましたね。単なる共同生活恋愛コメディと思っていて、宇宙人はギャグだろうと思っていたら、大真面目で展開してしまったところは驚いた。ここに大泉の本領が発揮されたというべきか。谷原も繊細(かつ大柄)なキャラを好演している。単なる三流コメディがひと味違って印象に残ってしまった。大泉に対するもたいまさこは当然として、終盤の木南晴夏(これまで「てっぱん」の写真登場の母親くらいしか印象に無かった)の存在感も見事。


おトメさん

・期待していたのだけど、かなり期待を裏切られた、しんどいドラマ(胡散臭い嫁の秘密を探ろうとする姑ドラマ)という感じで、特に石田純一とその息子役の男たちの駄目さ加減にうんざりしたが、終盤、予定調和的とはいえ、相武紗季の本性が見えてきたあたりは心地よくなったのだけど。善女ぶる悪女演技から悪女ぶる善女への変質。ただ、エンディングは学芸会的エンディングだな。もう少しなんとかして欲しかった。

あぽやん
・まあ、単なる伊藤淳史熱血ドラマなんですが、最近桐谷美玲が気に入っているので、ひたすら彼女を楽しみました。貫地谷しほりも珍しく地味に好演していたし。

最高の離婚
・これは最高のキャスティングで最悪のドラマ展開、という前作「結婚しない」続きのドラマでした。主人公四人の全員にうんざり、一人も好感が持てない、誰とも知り合いになりたく無い。それでも、こういうドラマに人気が集まるのだから、世の中、健全でないのでしょう。

夜光観覧車
・最近連発されている湊かなえ原作ドラマ(「高校入試」「贖罪」「境遇」「告白」)。高級住宅地に引っ越してきた庶民の苦しみがやがて家庭内の不和から殺人事件に至り、ますます迫害される、という。一応、犯人候補が次々と変転するあたりは考えて作られているのですが、どう考えても犯人探しミステリというより、「天国と地獄」ならぬ、天国の中に地獄の住民が彷徨い込んでしまったというのが主題でしょう。怪演夏木マリが最後に改心してしまうあたりが、その程度のドラマ、です。強いて言えば石田ゆり子が、どのような立場になろうと終始一貫納得のいくキャラを演じきっていました。その点、やはり鈴木京香は演技しきれていない。

信長のシェフ

・明らかに「JIN」の二番煎じ的キワモノですが、まあそれなりに面白かった。主人公はともかく、志田未来と忍びを演じる芦名星を見るだけで楽しめます。

泣くなハラちゃん
・岡田惠和脚本というだけで期待しましたが、期待は裏切られなかった。自分が書いた漫画の登場人物が漫画から飛び出してしまうという、奇想にも関わらず、それほど目新しく無い設定も、ひたすらその漫画人物が作者(主人公から見れば神様)に恋してしまう、という単純さが良い。まあ、だから逆に終盤の現代批判的部分は浮いてしまっていますが。漫画から出たというのを受け入れてしまう周りの人物たち(白石加代子好演!)もよければ、忽那しおり演ずる悪魔さん(神様に対する)というキャラも良い。
・まあ、主演が麻生久美子と長瀬智也、それに薬師丸ひろ子助演なんだから、というか、だから成立出来たドラマとも思います。クサさを逆転させてしまっている脚本と演技の力。音楽もTOKIOの主題歌より挿入歌の方が印象的です。
・中盤、工場長の死や、麻生久美子による終盤の転も、岡田惠和の上手さ、でしょうね。久々に岡田ファンタジーを堪能しました。
・岡田惠和は長瀬智也にアテて書いた脚本らしいですね。

とんび
・ちょっと前にNHKで前後編ドラマ化されているのですが、こんなに早く再ドラマ化(時代を10年ほどずらして現代に合わせている)。当然、現代部分を膨らませています。まあ、再ドラマ化にしてはいいのではないでしょうか。でも、僕としては内野聖陽よりNHKの堤真一の方が心地よく見れましたが。


Dinner
・これは最初、「王様のレストラン」とか、その他、レストラン物の流れだろう、などとあまり期待していなかったけど、主人公の江口洋介の料理馬鹿演技が見事で、最後まで楽しめる良作となっていた。父親の入院によりレストランをきりもみしなければならなくなった倉科カナも好演ですが、その他の従業員一人一人にうまく焦点を当てているのがよくある手法ながら上手く展開させている。これは脚本と演技の力ですね。凡庸なテーマを最後までうまくまとめていた。まあ、いくつか、うんざりするエピソードもありましたが。(袴田のエピソードなど、あまりに陳腐)
・最終回、見て良かったなぁ、という満足感を味わいました。



hirot15 at 00:01|PermalinkComments(0) TV 

2013年03月29日

フランケンシュタインの怪獣 サンダ対ガイラ CC

本多猪四郎監督 ラス・タンブリン、佐原健二、水野久美、田崎潤、中村伸郎、伊藤久哉、中村伸郎

・この映画は、一部カルト的人気があることは知っていても、なんかこれまで相性が悪かったのです。このDVDも、DVDを定期的に買っていた時代のものだからずうっと放っておいたことになる。
・封切りも、前作の「フランケンシュタイン対地底怪獣」は見ているが、こちらは見損なった。ただ、この双子の怪物、随分フランケンシュタインから遠ざかったグロテスクさになったな、と、あまり見る気にならなかったことも確かなのですが。
・それ以後、評判を聞いて何度も見なければ、と思いながら(だからDVDも買ったのだが)、どうしても見れない。(見る気にならなかったことも何度か)
・今回も、「水野久美」の本を読んで、今度こそ、と、このDVDを探しまわって見つけたのに、いざ見ようとしたとたん、別のものを先に見なければならなくなり、中断。それでも、今回は何とか見終えることが出来た。
・と、ぐだぐだと書いてきたけど、うーん、それほどの傑作とも思わない。東宝SFの水野久美としても、ラス・タンブリンとの相性が悪いからか(ということは本にも書いてあったが)、ちょっと乗り切れない。もう少し、活躍出来たんじゃないかなぁ、という印象。


hirot15 at 00:58|PermalinkComments(0) 映画 

2013年03月28日

ぱじ ~ジイジと孫娘の愛情物語 BB

阿部雄一演出 村上たかし原作 末安正子脚本 伊東四朗 小林星蘭 井上真央 ミムラ 三宅裕司 森本レオ 田島令子 三倉茉奈 伊武雅刀 吉行和子

・原作もそれを書いた漫画家も全く知らなかったけど、この原作者は「星守る犬」も書いているのですね。こちらも映画は見ている。
・<ぱじ>とはパパとじいじが合わさった造語で、孫のもも自身が考えた。両親の死後、祖父が引き取った時に、「これらじいじが父親も兼ねる」と言った時に考えたのだ。(ちなみに母親も兼ねると言ったが、母親は女だから兼ねられないと云われた)
・久々に伊東四朗が主役の祖父を演じている。祖父が孫娘を育てる話で、脇をかためる吉行和子と伊武雅刀も味を出している。幼年期の孫娘ももを演じる小林星蘭はちょっとおしん小林綾子を思い出す。もっとも僕は「おしん」は見ず嫌いですが。(ちなみに成長したももは井上真央)
・三宅裕司が友情出演していますが、これは多分、まさに友情出演ですね。近年の舞台共演はTVでもあまり見ていないのだけど、実に楽しそうな企画ばかりだった。本作の中でも、良い関係が垣間見える。
・本編では、拾った携帯電話からママからの電話がかかるエピソードはちょっと泣けた。(勿論、他人の母親なのだが、ももはその携帯を離そうとしない) ふだんは平気なのにふとしたところで悲しみが噴出する。
・肉まんに例えて死を語る。これもいい。うんちのオチは笑えるし。
・吉行和子の内縁ネタ、吉行の孫(こちらは大学受験生)が心を開くエピソードも良い。
・母親のビデオのエピソードはもういけません。僕が最も感動した映画のひとつに、マイクル・キートン主演の「マイ・ライフ」があったが、これはちょうど、そのビデオを撮る映画だった。これはほんとにいけません。
・それと、ぱじがももと別れようとするシーン。(ももがぱじの家を出る時、魔法のバトンを置いていく) 全編通して伊東四朗ベストの出来と思う。同時に、多分伊東四朗が最もやりたかった役なのではなかろうかと思う。
・吉行和子が云う。「人間は悲しいから泣くんじゃなくて、いつも泣きたいのを神経がせき止めているんだって」と。その夜、ぱじは布団の中で忍び泣く。ぱじがももと離れる決意をしたのは、一度倒れたはじのことをももが気を使い過ぎて子供らしさを無くしているのではないと思ったからだった。
・小林星蘭の名演を受けて井上真央が引き継ぐ再焦げのワンシーンまで感動的なドラマだった。正直、本質的に「星守る犬」とは対極の作品に思えた。


hirot15 at 01:07|PermalinkComments(0) TV 

2013年03月27日

光圀伝 CC

冲方丁著

・「天地明察」でちょっと印象的存在として登場した水戸光圀を描いた作品。いわゆる「水戸黄門漫遊記」とは一線を画す本格的時代小説だが、wikiで確認出来る光圀のデータはほとんど取り入れている上、節々にサービス(だと思う)も配している。つまり、「天地明察」のエピソードは終盤前に光圀の側からそれなりに(あまり詳しくなり過ぎないように)描かれているし、光圀自身は鎌倉までしか行った事がないが、助さん格さんのモデルとなった人物、安積覚兵衛、特に佐々介三郎も印象的に描かれているし、隠居後、全国ではないが、水戸の藩内をお忍びでまわる描写などがある。と、それはともかく。
・本書の核心は二つ。一つは冒頭で描かれる家臣(大老)の藤井紋太夫を斬殺、もう一つは光圀が弟なのに世子(跡継ぎ)となった負い目。光圀は三男だったにもかかわらず、長男は病死したからともかく、次男は健在にも関わらず、跡継ぎに指名され、それが何故か分からず苦しむ。一方、少年時代の彼は父親から<お試し>と称する世継ぎ試練を繰返し受ける。(6才の時に夜、さらされた首を取ってくるように命じられるところから、死人が流れて来る急流の川を泳いで渡るよう命ぜられるところまで)
・勿論、若き日の不良ぶりも興味深く描かれ、そこで宮本武蔵と沢庵に出会ったりもしている。(ここらはフィクションでしょうが) しかしそこにおける樽の鼠のエピソードはかなり印象的。
・やがて光圀は何故自分が世子となったかの理由を知った上で、自分の次の世代で兄の子に世継ぎを返す事で自分の大義を貫こうとする。自分は子をもうけない決意をしたとたん、妾腹の子が生まれてしまったり、嫁を取らなければならなくなったり、という展開も非常によく出来ている。(しかもそれが事実に基づいている)
・中盤の快感は、まさにこの嫁である泰姫である。彼女が祝言の夜に光圀の大義の決意を打ち明けられての対応がまさに素晴らしい。それだけでなく、本書において飛び抜けて魅力的存在が、この泰姫とその付き人だった左近(という女中)だろう。そのあまりにも魅力的な泰姫が早々と早世してしまう。ここで泰姫が死に、左近が生きることが上手い。それゆえ、泰姫の死が生きる。
・泰姫の死の前後から、それこそ物語の終りまで、それまで登場してきた人々の死が続く。(助さんこと佐々が光圀より先に逝くとは思ってもいなかった) 特に泰姫と共に盟友だった読耕斉の死も大きい。最後が自身なのは当然として、その前に唯一、自分の手で殺すのが紋太夫であり、この紋太夫が光圀が最も目をかけた臣下だったこと、そしてその(誰にも分からなかった)理由が、それこそ彼自身がこだわった大義の裏返し(いや、裏でなく真っ正面、表か!)だったことは凄い。始めから終りまで、テーマは一貫しているわけだ。(この斬殺の原因は、講談本などでは紋太夫が柳沢吉保と結んで光圀の失脚を謀ったためとしているが、本書の説の方が、少なくとも本書の流れでは当然、納得がいく)
・その他。初めてラーメンを食べたとか、wikiに書かれた多くの事が本書でも描かれているが、綱吉の生類憐れみの令に対して野犬20匹を殺してその皮を将軍に送ったというエピソードなどは単なる風説に過ぎないことを理由とともに否定している。直接、談判はしないものの、逆に綱吉の小物さを憐れんで描いている。そこにもまた紋太夫をからませているところの構成も見事だ。
・著者はSF方面で頭角を現した人なので、前作「天地明察」ではヘェ、と思ったけど、本書を読むと、こちらの方の手慣れ方も、これで終りではもったいないと思える手腕を感じた。見事。
・それにしても、泰姫と左近、いいなぁ。


hirot15 at 01:35|PermalinkComments(0) 小説