ようこそ hirot'sBlog へ

2004/11/25
本BLOGの公開を
開始しました。
映画は、今世紀に入って
ほとんど劇場では
見ていません。
主にDVD、CS、BS放送
による観賞です。
表題後ろにあるのが評価で、
前は客観点(出来の良さ)、
後は主観点(好き嫌い度)。
A-Eにするつもりですが
客観・主観とも
Cが及第点として、
Aが最高評価
Eが最低評価
とお読みください。
よろしくお願いします。

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プロフィール

hiro


2013年02月

2013年02月28日

天地明察 CC

‪滝田洋二郎‬監督 ‪冲方丁‬原作 ‪岡田准一、宮崎あおい、佐藤隆太、市川猿之助[4代目]、横山裕、松本幸四郎 、中井貴一、きたろう、岸部一徳、笹野高史

・一部映画的創作部分もあるけど、まあ原作のイメージと変わらない。皆、それなりにイメージ通り好演していると思う。特に囲碁でのライバル横山裕は予想外の好演と思った。囲碁に戻ろうとした岡田准一を無視するシーンね。逆に中井貴一は少し物足りなかったかな。原作ではもっと存在感を感じたのだけど。幸四郎が出ていることで演出からして位負けしたかな? 幸四郎自身も存在感としては物足りないのだけど。(原作者はこれで光圀を描いて「光圀伝」を書く気になったのですよね? その先入観で過大の期待をしてしまったかな)
・前半の岸部一徳と笹野高史が良くて、出番が少なくて残念でした。岡田准一がこの二人によって方向性を見つけるのがよく分かる。歩き方(自分たちで歩数を数えている)もいいのだけど、この時代の人たちはみんな手足同時に出すわけではないのか。なんか急にそのあたりが気になってしまった。(あれだけ歩き方が強調されたからでしょうね。思い違いだったらごめんなさい)
・あと、宮﨑あおい、佐藤隆太、市川猿之助。なんか「ゴーイング・マイ・ホーム」から急に宮﨑あおいが嫌いではなくなった。(前は結構嫌いだったけど) 本作でも、感じのいいヒロインを演じていますね。でも、佐藤隆太の方がもっと好感が持てたけど、原作でも肝心の結婚シーンでは不在だっけ? なんかその不在が気になってしまった。猿之助は原作ではもう少し本質に絡んだような気がするのですが。こちらは役者(本人の演技も悪くはないですが)と言うより、物語での関わりが少ないような気がして残念だった。
・アクション・シーンを入れたのは・・・まあ仕方ないのでしょうね。でも、ちょっとズレたかな。でもまあ、これで映画化されるのなら、それでいいんじゃないでしょうか。でも、それよりもう少し和算を丁寧に描いてもらいたかったかな。こういう機会に興味を持つこともあると思うけど(原作にはそういう面白さがあった)、この映画ではそこまでは描けていませんでしたね。雰囲気だけ。これで原作に興味を持って読んでもらえば嬉しいという、無難な出来です。

Zom's




hirot15 at 00:13|PermalinkComments(0) 映画 

2013年02月27日

解錠師 BB

スティーヴ・ハミルトン著

8歳の時に言葉を失ったマイクには才能があった。絵を描くことと、どんな錠も開くことが出来る才能。やがて高校生になったマイクは、ひょんなことからプロの金庫破りの弟子となり…。少年の成長と非情な犯罪の世界を描く。
・昨年の各種ミステリベスト10で高順位だった作品(正確には忘れた)。面白そうと思って予約していた。
・これは面白かった! ハヤカワミステリで420pあまり、金庫破りのプロの一生の話を覚悟して読み始めたが、実質的にはたった1年の物語だった。ただし、最初に引用したあらすじにあるようにトラウマの始まりは8才で、物語の終りは・・・書かない方がいいか。
・物語は発端となる主人公が喋れなくなった原因となった事件を隠したまま、主人公の最初の<仕事>から語り始め、金庫破りのプロとしての生活と、そこに至る過程が交互に語られていく。主人公はある程度事件を知る町の人々からは陰で<奇跡の子>と呼ばれながらも、一言も喋らないことから孤独な少年時代を送っている。そんな時、一人の親友が出来たことから、ほんの少し、彼の交遊は広がり、しかし結果として、それが彼を金庫破りになる運命に導いていく。全編、主人公の回想形式なので、最後まで主人公が生き残ることは分かっているが、その語り口や構成が実に巧く、主人公の運命の分岐点が何度もある中、何故、別の方向に向かわなかったのか、と公開を口にしつつ、そちらの方向に向かうことに読者は納得するだろう(少なくとも、ほとんどは) 
・描かれるものは、実際の犯罪シーンの迫力、特に中盤に描かれるセンサーの中での仕事(センサーを騙す為に室温を極端に上げて人体の温度に近づけているが、それでも亀より鈍い動きをしなければならない)の描写は見事だし、一方で彼が少しずつ、錠前破りの素養を見せていく、そしてそれを彼自身が楽しんでいく過程も面白い。仕組みを理解したとは思わないが、読者を納得させる描写も上手い。(著者は本職に取材したそうだが、理論的な部分だけでなく、感覚的部分の描写が見事だ)
・そして、もう一つの山場は恋愛描写。中盤までヒロインが登場しないのもうまい焦らし方だし、そちらの展開も上手い。主人公は錠前破りの他にもう一つ、絵にも天性の才能があるのだが、それが二人の交流において、絵画から漫画へと移行するのも上手い。そういえば、本書において手話もメモによるコミュニケーションも最低限しか使われないが(ほとんどは無言で通す)、唯一、漫画のフキダシにおいて主人公は初めて、ここでは喋れることを実感する。漫画と言う表現手段はもう一つ、非常に効果的に使われる場面があり、この展開も見事。
・最後は当然ながら、二つの交差の結末(金庫破りのプロとしての旅立ちと、金庫破りとしての結末)があるのだが、そのどちらもが見事なクライマックスとなっていて、その決着も心地よい。
・勿論、犯罪サスペンスも見事だが、それ以上にある種の青春小説として見事な出来と思う。それは例えばランズデールのそれとは違うものなのだが。



hirot15 at 01:28|PermalinkComments(0) 小説 

2013年02月26日

コロンビアーナ CC

オリヴィエ・メガトン監督 リュック・ベッソン製作&脚本 ゾーイ・ザルダナ、ジョルディ・モリャ、アマンドラ・ステンバーグ、マイケル・ヴァルタン、クリフ・カーティス、カラム・ブルー、ジョルディ・モリャ、レニー・ジェームズ

・リュック・ベッソンが脚本の女殺し屋物として、「ニキータ」とか「レオン」とかを思い出し、それはあながち間違いではないけど、やっぱり叙情性は薄く、ひたすら派手なアクションになっている。そういう意味では冒頭近くの少女の逃走シーンが最も印象的かな。
・恋人との関係も盛り上がらないし、全体的に上手くいき過ぎな感じもあり、或は、クライマックス前の悲惨さもちょっとそこまでやらなくてもいいんじゃないかと思うけど(復讐の意味がなくなる感覚はメッセージなのかもしれないけど)、でも、まあ全体的にそれなりに楽しめたかな。深く考えなければ、楽しめます。

Zom's




hirot15 at 00:51|PermalinkComments(0) 映画 

2013年02月25日

何者 BB

朝井リョウ著

・映画化された「桐島、部活やめるってよ」が評判の良いことも知っていた著者が賞を取った新作。著者の本を読むのは初めて。話題の映画もまだ未見。本書を読みながら受賞したのは芥川賞かなと思っていたら、読み終えた後、直木賞だったことを確認した。うーん。直木賞と言うより、芥川賞を取ってもらいたい作品と言う印象。同時受賞の「等伯」があまりにもつまらない小説であることを知っているので(日経連載時に読んで毎回うんざりしていた)、それと同時受賞か、と溜息が出た。(ちなみに「等伯」は大森望もなんで受賞したか全く分からないと言っていたことで少しだけ、ホッとした)
・内容は主人公を含む就職活動中の五人の学生について、主人公の視線とそれぞれのツイッターで描いていくというもの。ちなみに僕はこうしてブログはやっているし、その前にインターネット前にパソコン通信もしていたけど、ソーシャルネットワークもツイッターもフェイスブックもやっていない。(正直、長い間、インターネット自体にも違和感を持っていた)
・主人公は就活の情報交換をする仲間たちを観察しながら、それぞれの長短を冷静に見つめている。そして実際とツイッターに書かれたことの誤差を楽しむ。一方で、かつての自分と袂を分つて独立して演劇を続けている演劇仲間が月一で公演する行動を続けていることに冷静ではいられず、2チャンネルの中傷記事にホッとしたりしている。
・主人公の視点だから当然なのだが、読者はそれをほとんど(前述の元演劇仲間は別として)客観として読んでいくが、そこに一人、主人公の側を客観視出来る先輩の存在があり、その言葉に狼狽する。
・主人公は部屋をシェアしている友人(彼は演劇でなくバンドをやっていた)の周囲への親和性だけは認め、勝てないと思っている。或は、彼の別れた恋人に主人公は片恋しており、彼女については客観視出来ない。
・そうした伏線を置いた後、終盤に思わぬクライマックスが配置されている。これはかなり効いた。
・読みながら、ツイッターってやっぱり気持ち悪い。(そしてそうした気持ち悪さをさらしつつ、主人公自身もツイッターから離れられないのも気持ち悪い)




hirot15 at 01:30|PermalinkComments(0) 小説 

2013年02月24日

グラバーズ DD

‪ジョン・ライト‬監督 ‪リチャード・コイル、ルース・ブラッドリー、ネッド・デネヒー、ラッセル・トヴェイ、ブロナー・ギャラガー‬

・怪物ものなんですが、舞台がアイルランドの孤島というのがミソ。お決まり的に嵐で孤絶した島でアイルランドの島民を守ろうとする警察官を含む数名・・・ このアイルランド人気質が面白いのですが、残念ながら脚本の質はあまり高くない。
・何故か最も助かりそうも無い酔っぱらいの老人が怪物に襲われても助かるどころか、逆に捕獲出来てしまう。それは何故かと言えば、実は老人が泥酔していたせいであり、怪物が極度にアルコールに弱いことが分かるわけで。これが単にアルコールをかけても効果は無く、アルコールを接種させなければならない。嵐の一夜を乗り切るため、島民を怖がらせないために、強制参加で島民全員でパーティを催し、真実を知る数人で彼らを守ろうとするが、という展開。
・まあ、いかにもアイルランド的で面白いのだけど、やっぱり脚本や演出、それに俳優の演技も、全部ちょっと弱いのがかえすがえすも残念。ヒロインの女性警官も、もう少し上手ければだし、相手の男性警官もなぁ。
・残念。



hirot15 at 01:50|PermalinkComments(0) 映画 

2013年02月23日

無花果とムーン BB

桜庭一樹著

・日本のどこか地方都市の無花果町に住む18歳の月夜は、紫の瞳、狼の歯を持つもらわれっ子。ある日、大好きな次兄がアレルギーのアーモンドを口にして急死した。泣くことも、諦めることもできないなか、彼女は兄の幽霊の気配を感じはじめる。そしてついに月夜の強い想いによって明日地上に戻って来ると夢の中で宣言した翌日、年に一度の「UFOフェスティバル」の準備に季節労働者たちがやってくる。その中に・・・
・最初はピンと来なかったけど、第三章からググッときた。そこまでの展開も布石としてうまく機能しており、久々に桜庭一樹の少女モノを読めた。
・彼女が兄の幽霊に憑かれていく展開もさることながら、そんな彼女の周りの対応を彼女自身の感触として描かれていくのが良い。例えば、彼女の天敵的、死んだ兄の恋人だったイチゴ先輩、時々彼女をウザく感じる彼女の友人グループ、担任の教師、そして兄の親友だった高梨先輩。それらが、彼女が少し元気になった時、それまで引き蘢っていた彼女に一斉に声をかけて来る。それが後に、長男が声をかけまくって、彼女を外に出そうとしていたことを知る。誰も、自発的に声をかけてくれたのではなかったと知ったときの気持ち。
・彼女は季節労働者の一人の青年が次兄にそっくりにみえ、彼こそ戻ってきた兄と思うが、しかし勿論彼に兄の記憶は無く、性格は全然違う。しかもまわりの者には、兄にそっくりという認識を共有していないようだ。ここらのズレが実に良い。
・特に、天敵的イチゴ先輩と、友人グループの中で引っ込み思案の なみ が良い。そのすれ違う互いの想い。物語の終りで、その中の一つに決着がついていない終わり方も見事。全てがハッピーエンドで終わるわけではない。
・そう、ハッピーエンドゥ。この名前の犬がワン・シーン、活躍するのだが、その流れで、人の一生とハッピーエンドは同期しないということ。(これは作者自身の思いらしいが)、偉人伝を読んでも、彼らは最後は(時には悲惨に)死んでしまう(実話だから仕方ない)。しかし、ハッピーエンドとはそうした死ぬところでハッピーエンドではなく、偉業を達成した瞬間こそ、ハッピーエンドなのだということ。つまり、偉人伝的終りではなく、実話ではあっても、映画的ハッピーエンディングこそ、本物のハッピーエンドであるということ。当然のようで、ある種の説得力を感じる。
・クライマックスの、それこそ生と死の狭間という感覚もよかった。このクライマックスがあってこそ、ハッピーエンディングがある。
・久々に、エンターテインメントではない桜庭一樹の原点を堪能しました。

HIDE.O's
著者は本作についてのインタビューの中で、名前が人生を左右する感覚がある、と言っています。つまり、彼女はその感覚を逆手にとって人名を決めているというわけか。(このインタビュー、物語のほとんどを語ってしまっているので未読の人はよまない方が良い)

傷痕
GOSICK8





hirot15 at 01:47|PermalinkComments(0) 小説 

2013年02月22日

あのころのデパート CC

長野まゆみ著

昭和のよそゆきのお出かけは、デパートに行くことだった…。百貨店の成り立ち、包装紙のオキテ、独特の言葉遣いなど、あのころの贅沢で楽しい記憶を呼びおこす、なつかしのエピソード満載のエッセイ。
・著者の本を読むのは初めて。これは小説でなくエッセイで、著者は僕より一つ年下らしいけど、懐かしさを味わえるのではないかと思って読んだ。もっとも、僕はそれほど子供時代のデパートの思い出はないけれど。(むしろ、浪人時代に予備校をさぼってデパートの屋上で弁当を食ったとか、そんな感じかな)
・確かに、そうしたなつかしさの欲求を少しは味わえたのだけど、実はそれほど「あのころ」感はなかった。というか、まず途中から、デパートの内情に突っ込む内容になってしまっている。つまり、客としてのデパートよりも、著者の母親、そして著者自身のデパート勤務体験の内容。それでも、最初の方は銀座のデパートの屋上で海の匂いがしたとか、そういう擬似的懐かしさも書かれていたのだけど、だんだんと勤務体験の方が中心になり、やがてもっと不味い事に、デパート自体からも離れがちな現代批判的な内容になってしまう。(ちょっと愚痴のようにも感じてしまう) 勿論、確かに昔が懐かしくとも、今、昔の生活に戻っての生活に耐えられるわけはないのだけど。(そう強いられた体験としては、少しは今回の原発事故体験、そして両親の世代は戦争体験があるだろうが)
・デパート勤務体験による裏話(呼び出しの実質的符丁とか、接客の一般には間違いの喋り方の理由とか、開店時お出迎えの苦痛とか)は、特に前半は興味深くて面白い。ただ、読んでいて面白くとも、多分、右から左に抜けていってしまうだろうな、という気もする。確かにデパートには窓が少ないな、とかの納得もある。だから、外の天気を館内のBGMで知らせ、天気に対する対応をする。あと、前年比としての毎日のノルマがあり、それに対する対応とか(ノルマに追いつきそうも無いと、ワゴンを出したりの営業努力が始まる)
・ちなみに、自分の勤め先はイニシャルしか書かれていないけど、近鉄デパート(東京は吉祥寺だけ? 今は無い)と、銀座プランタン(元はダイエー系の最初のデパートというのも初めて知った)らしい。好きだったデパートは西新宿の京王デパート、のようだ。
・まあ、母親の時代(聞いた話)、自分の勤務体験、そして現在、辞めてから外側から見る様子、と三面から描かれるのは興味深いけど、まあ、たいがいが愚痴な訳だ。自分以外のあらゆる側に対しての、ね。
・あらためて今、目次を見直すと、「船にのって」「包む人」「流儀と符丁」(各デパートでそれぞれの流儀があったという話はちょっと面白かった。どちらが正しいという意味ではなくて)、「よそいきとおでかけ」、ここらまでは、それなりに面白かったですね。その後、「いまどきのデパート」「十時から六時まで」(勤務時間の話)「お客さまもいろいろ」「暮らしの手帖がテストしたデパート」「あのころにはもどれない」あたりからどんどん説教臭く、愚痴のオンパレードになっていく。多分、書く事が無くなって無理に続けたような感じ。(だらわざわざデパートツアーに参加したり、取材的行動が多くなる)
・前半だけで終ったら、かなり面白かったのに、残念でした。



hirot15 at 01:34|PermalinkComments(0) その他読書