ようこそ hirot'sBlog へ

2004/11/25
本BLOGの公開を
開始しました。
映画は、今世紀に入って
ほとんど劇場では
見ていません。
主にDVD、CS、BS放送
による観賞です。
表題後ろにあるのが評価で、
前は客観点(出来の良さ)、
後は主観点(好き嫌い度)。
A-Eにするつもりですが
客観・主観とも
Cが及第点として、
Aが最高評価
Eが最低評価
とお読みください。
よろしくお願いします。

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hiro


2012年02月

2012年02月29日

MAD探偵 7人の容疑者 CC

ジョニー・トー&ワイ・カーファイ監督 ラウ・チンワンラム・カートンケリー・リンアンディ・オンチョン・シウファイ

・評判は聞いていたけど、実際見てみると、なるほどとは思いつつ、成功はしていないんじゃないか、と。非常にもったいない作品だとは思いますが。
・主人公は刑事をクビになった男で、彼は人間の内面を見ることが出来る。七人の容疑者というタイトルは本当の七人ではなく、一人の犯人の中の七重人格のこと。今回の事件に主人公の協力を求めてパートナーとなる新進刑事は主人公が見えない妻と語り合うのに戸惑いながらも、半分、彼の能力を信じ始めるのだが、ややこしいことに、死んでいると思っていた主人公の妻が実は生きていることを知り、ならば主人公が語り合っている妻はただの妄想か?と。主人公の奇行とともにドラマは展開していく。
・この主人公の奇行は、原点としてトマス・ハリスの「レッド・ドラゴン」におけるグラハム刑事のそれ(彼は猟奇犯罪者の感情を読むが、別に幽霊を見るわけではない)だし、似たようなことは現在放送中の「ストロベリーナイト」の竹内結子もやっている。(その対極が武田鉄矢ではなく遠藤憲一であることを先日の回で知った)
・まあ、この映画のキモは主人公が見ているものを現実に描写すること(勿論、一方で見えていない側も描写するわけですが)、そして前述しましたが実際にいる妻と幻の妻の存在ですね。しかし、もう少し丁寧に構成したら面白かったと思うけど、香港映画的に悪い意味で力技で作ってしまっていますね。では丁寧に作ればどうなったかといえば、多分、マイケル・マンが描いた「刑事グラハム」のような作品と思うのです。




hirot15 at 00:50|PermalinkComments(0) 映画 

2012年02月28日

傷痕 CC

桜庭一樹著

・正直、プロローグから1章はかなり辛かった。最後に挙げられた参考文献を見るまでもなく、マイケル・ジャクソンを日本に置き換えただけの設定に思え、確かに<傷痕>という存在はあるものの、実はその存在そのものもうざく感じた。これから何章もこの傷痕とつき合うかと思うと本気で失望していた。
・しかし2章で一気に風向きは変わる。傷痕の物語でなく、キングのファンとなっている男の回想になり、傷痕どころかキング自身も脇に追いやられる。いわばいきなり番外エピソードに移ったような印象。まあそこで、ああ、こういう趣向ね、と気がつくのですが。これも桜庭一樹としては珍しくない。ここでもまた、先ほどとは違った意味で、マンネリ感はあった。ただ、腐っても桜庭一樹、傷痕が全く違った意味で意味を持っているのが良かった。
・3章以降はもう驚かない。2章よりはキングに近い様々な人々の回想。キングを目の敵にするフリーライターや、キングのスキャンダルの張本人、そしてキングの姉。この中で最も印象的なのは、章全体でなく、キングが口ずさんだという「風の歌」のくだりだろうか。(もっとも、半分はこれが結末への伏線かな、と勘ぐったのだけど)
・あとは、いかに終るかだけだ。エピローグの前の第6章は、それまでの各人の独り語りとは違い、様々な人々が追悼イベントに向かう様子が描かれ、それは一見、結末に向かっているように見えて、僕は再び、なんか違うな、と感じていた。ちょっと悪い予感がぶり返す。
・エピローグは、ほとんど悪い意味で予定調和的で、奇麗な終り方ではあるけれど、読み終わる爽快感はなかった。ただ、キングに代わって傷痕が決着をつけるだけという感じ。まあ、それはそれでいいのかもしれない。別にミステリ的要素(それはほとんどマイケル・ジャクソンのミステリ的部分と同様だ)はあっても、謎解きを目指したものではなかったのだろうから。これがエルヴィスでも、オチは実はエルヴィスは生きている、なんて凡庸なオチくらいしか思いつかない。(ちなみにエルヴィスが生きていたというストーリーの傑作はジョー・ランズデールが短編で書いていて、ドン・コスカレリが映画化している)

・まあ、無難の一言。実は直前に辻原登のエッセイ集で桜庭一樹の「砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない」の解説を再読して、かなり気分が高揚していたから、かなり余計な期待をしてしまっていたこともあるのだけど。いつかまた、「砂糖菓子」や「赤朽葉家」や「少女には向かない」のような高揚感を味合わせてくれる小説と再会出来るでしょうか。

HIDE.O's

ばらばら死体の夜
GOSCIK 7

道徳という名の少年
製鉄天使
ファミリーポートレイト




hirot15 at 01:24|PermalinkComments(0) 小説 

2012年02月27日

うさぎドロップ CC

SABU監督 宇仁田ゆみ原作 松山ケンイチ香里奈芦田愛菜桐谷美玲キタキマユ佐藤瑠生亮秋野太作木野花根岸季衣 風吹ジュン 高畑淳子  池脇千鶴 中村梅雀 斎藤洋介

・主演の三人が三人ですから、見ていて楽しいことは楽しいんだけど、ハナシとしては本当にどうってことのないハナシ。ちょっと刺激的なのは松山ケンイチの夢想によるダンスシーンくらいか。
・原作未読ですが、原作では(本作では語られない)第二部で進展があるようですね。しかしそこに向かう物語として、この第一部(いや、第二部が作られるかどうかは知りませんが)はあまりに中途半端でしょう。ただ、子供の方が育ててくれる男と親子になることは断わると。(名字が変わることを嫌がったのだと理解したのですが、まあこの段階ではそれでいいのだと思います)
・正直、全然物足りないのだけど、まあ僕としては可愛い
愛菜ちゃんと、香里奈を見ていれば満足、ではありますが。
・SABUの作品はあまりみていませんが、こういうジャンルは似合わないんじゃないかな。

Zom's





hirot15 at 00:49|PermalinkComments(0) 映画 

2012年02月26日

アライバル BB

ショーン・タン著

・噂に違わぬ傑作ですね。全く台詞を使わず、架空の文字だけを使った一種のサイレントグラフィックノヴェル。
・龍の影がうごめく架空の国から家族を残して出稼ぎに出る男。汽車に乗り、船に乗り、着いた国は自由の女神のあるアメリカではないが、別の二体の像がそびえ立つ。入国審査、奇妙な造形の都市、奇妙な情景、奇妙な機器、奇妙なペット。言葉が無いのは、ちょうど異邦に来て言葉が通じない主人公に重なる。
・彼が出会う様々な人々。そして記憶。いくつかの過激な描写、あの巨人達は何なんだ? 龍のいる国から相手が自分の国を回想したのか。

HIDE.O's


hirot15 at 01:26|PermalinkComments(0) 漫画 

2012年02月25日

探偵はBARにいる CC

橋本一監督 東直己原作 大泉洋松田龍平小雪西田敏行田口トモロヲ波岡一喜有薗芳記竹下景子石橋蓮司松重豊 高嶋政伸 吉高由里子 カルメンマキ

・大泉主演でハードボイルドという企画としてはかなり成功しているのではないでしょうか。TVの「ラッキーセブン」も悪くないけど、それを見た後で本作を見ると、改めて感心してしまった。コメディタッチを入れながらも、ハードボイルドのセンスだけはしっかりと出せている。
・小雪が久々に味を出していて、西田敏行が冒頭だけの出演ながら全体に存在感を出している。強いて言うなら
松田龍平のみ、もう少し(ハードもソフトも)味を出して欲しかったな。あと高嶋政伸がまたしても怪演している。

HIDE.O's

Zom's




hirot15 at 00:38|PermalinkComments(0) 映画 

2012年02月24日

都市と都市 BC

チャイナ・ミエヴィル著

・現代を舞台にしながら、〈べジェル〉と〈ウル・コーマ〉という架空都市を描いた警察小説タッチのSF。この〈べジェル〉と〈ウル・コーマ〉は地理的に同一位置にある。両国が入り組んでいるのだが、両国は互いに互いの国に干渉してはならず、入ることどころか相手の領土を見たり聞いたりしてもいけない。正確には、見えてしまうし聞こえてしまうが、それを認識してはいけないわけで、生まれたときからそのように躾けられているわけだ。これに抵触することをブリーチするという大罪で、ブリーチするとたちまちブリーチという謎の権力組織が現れて捕まってしまう。そんなベジェルで殺人事件が起こるがやがてその殺人にはウル・コーマもからんでいるらしいことが分かって来る。しかし最初はブリーチに引き継がれるだろうと思っていた(そう望んでいた)事件は巧妙にブリーチの介入を阻止される(ブリーチのルールに抵触しない)形で行われており、担当刑事のボルルはウル・コーマに自ら(捜査官という立場で無くアドバイザーという立場で)出張することになる。
・このベジェルからウル・コーマへの出張前のオリエンテーションが面白い。最初はベジェルが明るく見える風景を徐々にそれまで暗かったウル・コーマと反対にさせて見るべき風景を反転させていくのだ。解説でも書かれているが、結局、この両国は裸の王様を意図的に行っているに過ぎないのだが、神経はそれに慣らされてしまっている。
・ここで読者はブリーチというルールでなくブリーチという組織が何か分からないのだが(しかしブリーチを犯したアメリカ人がたちまち国外退去されるエピソードにはつき合うことが出来る)、やがて事件の謎がオルツィニーというベジェルでもウル・コーマでもない第三の存在にあるらしいことが分かって来る。このオルツィニーとはブリーチのことなのか?(ちなみにベジェルとウル・コーマが分裂する前の遺跡もまた存在する)
・正直、なかなか世界に入れず辛かったのだが、まずウル・コーマからのメッセージがTELされたあたりから少し中に入れだし、更にウル・コーマに舞台を移すあたりも何とか興味を持続させたのだが(しかしかなり辛かった)、それがウル・コーマでのクライマックスあたりから俄然緊張感が生まれ、ついに第三部のブリーチに達する。
・いかにブリーチに達するか、そしてその後のウル・コーマとベジェルの境界線を進む(それが誰かは読んでのお楽しみ)描写がなかなか凄い。
・ということで、題材的に非常に興味深かったが、小説として楽しめたかと言われると、僕は少し辛いものがあった。それが主観点でBと出来なかった理由です。
・しかし、ウル・コーマ、ベジェル、お互いが互いを<認識しない>訓練が出来ているならば、そこで逆に<互いを認識しない>ではなく、<自分の側のみ認識する>という訓練がされていると考えるならば、互いだけでなく、第三の存在、それがブリーチなのかオルツィニーなのかはともかく、その存在は充分可能な筈で・・・・
・ところで、似たような環境として、単純には統合前の東西ドイツ、ここには壁があったから分かりやすかったし、現在の朝鮮もそう。そこで僕が読みながらふと思ったのが、韓国、北朝鮮共に互いの存在は知りながら、国境を越えることは許されない。ここでそれを監視するブリーチが北朝鮮の独裁制なのではないかと。(いやまあ、韓国側にもあるのですが、こちらは現在は少なくとも秘密警察的存在ではない。そういう意味では、ベジェルもウル・コーマもブリーチでなく警察は存在するわけですから) つまり、ふだん北朝鮮住民はブリーチを恐れながら、あたかもそれが存在しないように生活しているという・・・ いや、結果として、本書はそういう内容ではないのですが、読んでいる途中では拉致問題なんかまで想像を飛躍させてしまいました。でも、実は読み終えても根本的にブリーチの存在は理解しましたが、その存在理由はよく分からないんですよね。(実際にエルサレムをイスラエルとパレスチナにより、本書のベジェルとウル・コーマ的に解決してはという提案があったというのは驚きます)



hirot15 at 00:02|PermalinkComments(0) 小説 

2012年02月23日

日本の漫画史を変えたと思う作家ベスト10?

日本の漫画史を変えたと思う作家ベスト10
・偶然見つけたのですが、あまりにも情けなくて泣きたくなりました。
・手塚は当たり前として、この中で入ってもいい漫画家は長谷川と藤子と水木と赤塚だけでしょう。(それでも半分いるのだからマシなのだろうか?)
・宮崎は百歩譲ってもアニメ史でしょう。烏山と尾田はヒットを出せばいいというものではなく、あ、悪く変えたという意味では入ってもいいかも。本人も漫画も批判する気はないけど、ここに入れるような読者を作ったという罪は大きい。秋本は言っては悪いけど、長いだけ。井上雅彦だけは作品批判は出来ないが、彼が漫画の何を変えたか? 「スラムダンク」は面白いが、アレの前にあのような作品はなかったか?  「バカボンド」も最終的にどう着地するのでしょうか。そういう意味では尾田も同じですね。着地を見ないで漫画史を変えたと言えるでしょうか? (そういう意味で浦沢直樹に注目すべし)というか、多分、あまりにも漫画史というものを知らな過ぎる人々がアンケートに答えているのでしょうね。逆に言って、このアンケートに答えた人の何人が手塚治虫の漫画を20作品読んでいるか? 聞いてみたい気がします。
・長谷川は多分、アニメの「サザエさん」が今も放映中だからでしょうね。でも、何人が漫画の「サザエさん」を読んでいるでしょうね? そうか、きっとここのアンケートに答えた人は漫画とアニメの区別もついていないんだろうな。藤子もきっと「ドラえもん」だけ、でしょうね。(或はその他アニメ化された作品。アニメ化されていない藤子作品を何人が挙げることが出来るか?)
・そうか、このベスト10で、アニメ(映像化)を何人が切り離せるか? もしかして「バカボンド」だけ?

・最近、アメコミとかバンドデシネとかが脚光を浴びているけど、確かに日本の漫画は戦後最悪の危機にあるのかもしれませんね。それは多分、悪書追放運動時代よりもずっと悲惨な時代になりつつあるのかもしれない。

・あえてここにはここに挙っている人物以外の名前を書きませんが、漫画ファンと自称するなら、手塚以外の9人を(あえて前述の四人を外しても、というか、手塚だけは良くも悪くも外せないでしょうから)苦もなく挙げることが出来るでしょう。せめて少女漫画や劇画を範疇に入れて欲しいし、そうか、これはアンケートの仕方を間違えているのですね。漫画史を変えるという以上、全員に10人は挙げてもらわなければ、好きな漫画家を挙げることになってしまうでしょう。10人挙げられなければアンケートに答える資格はない筈なのです。

・あえて書かないと書きながら、大友と石(ノ)森の名前が入っていないのは笑えるというか、それが時代なのかと感慨に耽るか、どちらにすべきなのだろう?





hirot15 at 22:48|PermalinkComments(0) 漫画