ようこそ hirot'sBlog へ

2004/11/25
本BLOGの公開を
開始しました。
映画は、今世紀に入って
ほとんど劇場では
見ていません。
主にDVD、CS、BS放送
による観賞です。
表題後ろにあるのが評価で、
前は客観点(出来の良さ)、
後は主観点(好き嫌い度)。
A-Eにするつもりですが
客観・主観とも
Cが及第点として、
Aが最高評価
Eが最低評価
とお読みください。
よろしくお願いします。

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hiro


2007年07月

2007年07月31日

夜愁 CD 

サラ・ウォーターズ著

半身」、「 荊の城」のサラ・ウォータース、邦訳三冊目(処女作のみ未訳らしい)。書評等で言われている通り、前二作のヴィクトリア朝時代のロンドンから第二次世界大戦時のロンドンへ時代に舞台を移している。一方で、同性愛を扱うという意味に於いては三作共通しているというが、個人的には前二作にそれほど重きを置いていなかったので、その指摘はあまりしっくりこない。それに創元推理文庫にしては、本作を推理、サスペンス、その他あらゆる意味でこの文庫の範疇に入るのか、疑問に感じてしまう。強いて言えばサスペンスなのでしょうか? 本書の構成として時代を遡るという形式に於いて、不明部分が明らかになってはいくのですが。
 さきほど前に作について僕は同性愛についてそれほど重きを置かなかったと書いたが、逆に言えば、本作はなんじゃこりゃと感じてしまうほど同性愛のオンパレードである。レズビアンにホモ、そして異性愛の不倫も一組。言ってみれば、その三つの関係者の現在から次第に過去が明らかになるというのが本書なのだが、それがまた不自然なほど関係者は入り乱れている。まさにそんなのあり? という感じ。特にポイントとなるケイとヴィヴィアンの現代はあまりに不自然だ。一方で、この二人の出会いのシーンが本書の最も印象的なクライマックスに思えるのだが。このエピソードの後で、遡ってヴィヴと恋人の出会いのシーンなど、読んでいられねえょ、と感じてしまう。ケイが必死でヘレンを捜すもう一つのクライマックスについても、それ自体、当人の必死さに対して、読者はその後の二人の関係を既に知っているが故にその残酷さという、全く違った観点から読む事になってしまう。
 正直、本書は好きじゃない。構成が練られているとは思うが、成功しているとは思えない。確かに読み終えてから、もう一度冒頭部分に戻ってそれぞれの関係を確認はしましたけどね。結局、順方向に再構成したら、上巻の2/3くらいのところで終わるのだが、それは当然の事ながら実は謎(関係の不明)の提示であり、結末ではないわけで、本書は過程は示されたけど、結末はない小説に感じられた。勿論、遡った後で現在(作品中の最初の時代)に戻らない事こそ、本書の潔さなのですが。
 僕にはこれこそ単なる同性愛小説に過ぎないような気がした。


すみ&にえ


at 00:00|PermalinkComments(0) 小説 

2007年07月30日

悪夢探偵 CC

塚本晋也監督 松田龍平 hitomi 安藤政信 大杉漣 原田芳雄 塚本晋也

 奇しくも「パプリカ」に続いて夢物ですが、勿論、内容は全く違う。
 塚本としては真っ当なエンターテインメントなのだろうけど、一筋縄ではいかない。プロローグで悪夢探偵が紹介されたのだろうが、実はいまいちよく分からない。ただし原田芳雄とのからみであるこの部分の映像はかなり良い。
 問題は本筋。最初の被害者の描写はまさに「鉄男」の塚本の本領発揮。そして次に女刑事の登場。大杉蓮が塚本映画初出演というのは僕も驚き。歌手のhitomiの映画初出演についてはまさに微妙なところだが、確かに部分的に良い雰囲気が出ていた。ただし残念ながら核心的活躍はしてくれず、追う側が追われる側に回ったところから単なるホラーのヒロインに成り下がってしまう。安藤政信の退場は早過ぎる。hitomiとのコンビが確立する前に退場してしまった為、必然的に大杉蓮の活躍も少なくなる。大杉蓮が核心に踏み込まないのも残念。せっかく出演しても活かしきれなかった。
 問題は松田龍平。僕は彼をあまり買っていない。この作品にしても、正直、これだけ美味しい役を乗り切れているとは言えない。これは彼のキャラ設定と描写がはっきりしない為もあるのだろうが。(塚本のアクション描写は良く言えば力押しだが、悪く言えばそれによってごまかす雑さがある) 松田の弱さの対極にある強さが、奇しくも監督自身が演じてしまう。毎度の塚本の怪演は自分自身の映画で本領を全開する。今回も凄い。ワケわからなくとも、松田と違い、それを押し切ってしまう。ミエの張り方からして違うもんね。これ、松田の側に演出しないのはズルいよ、とさえ思ってしまう。松田龍平についてもう一言だけ付け加えるなら、年齢が近づいたせいか、時に松田優作の面影が映る。ただし、ここでも同時に線の細さが歴然とする。松田優作が「それから」などで書生を演じても、このような細さはない。
 この作品はシリーズ化されるようだ。いかようにもやり方があるだろう。松田龍平が主演という事だけが動かないのかな。問題は、第二作において塚本本人の不在をいかに埋めるかだろう。蘇るのは得策じゃないでしょう。

HAZE
ヴィタール



at 06:25|PermalinkComments(0) 映画 

2007年07月29日

封印歌謡大全 CC

石橋春海著

 7/22(日)の19時より、TBSラジオは「TABOO SONGS~封印歌謡大全」を二時間にわたって放送した。放送のキモは勿論、いわゆる放送禁止楽曲をかけることと、一般に放送禁止と思われている楽曲のほとんどが放送局の自主規制であるという確認である。自主規制でも、放送局が自主的にかけない以上、放送禁止と同じなのだが、この放送のように敢えてかけることも可能なのだ。
 もっともわずか二時間、かけられる曲も限られる上に、フルヴァージョンは多分克美茂の一曲だけ(これは後述するようにここにりあげた本の著者の思い入れ故だろう)、曲の途中で会話で遮られるのが残念だったが。
 で、本書である。これまでもドラマや映画や漫画など、発禁物には興味があったが、これはTBSの番組の元ネタとなった本で、著者が番組の解説もしていた。ラジオ同様、戦前の軍の統制等による放送禁止や単純な差別用語による放送禁止はあまりそれほど面白くないが、それ以外の部分ではかなり面白い部分もあった。
 特に著者が特別思い入れがある前述の克美茂についてはかなり興味深い。単に殺人を犯したという原因だけでなく、その過程、そしてその後の人生もフォローされている。一度、克美茂をTV神奈川にカムバック出演を画策して直前で挫折した経緯はちょっと驚いた。或は本書の付録としてCDを付けようとしてこれも挫折したらしい。本人はまだ諦めていないようだが、その第一歩がTBSの克美茂「さすらい」フルヴァージョン放送だろう。
 もう一つ、超最近のネタとして、川内康範、森進一事件。これは本書取材の過程で川内が森進一の歌詞改変に気がついたというオマケ付き。こちらの取材は元々の川内と森進一の関係を明らかにしている。川内が検閲に対してGHQとやりあっているのは痛快なエピソードだし、川内は森進一を目にかけ、森進一の母親が死んだ葬式では遅れた坊さんの代わりにお経まで詠んでいるほど。そんな親心を知らずに増長した森進一の哀れさ。
 この二つの記事だけで本書の価値を感じた。実はそうした記事はつなぎに過ぎず、本書の趣旨としては封印各曲それぞれのエピソードなのだが、そちらは逆に小ネタの積み重ねという感じで、それはそれで面白いものもあるのだが。
 勿論、例えば有名な「イムジン河」や「手紙」を筆頭とする背景は一応は描いているが、それを追求するわけではなく、それらも他の理由、シモネタ、ヤクザ礼参、事件、盗作疑惑、等と同列に描き、広く浅く、というのが長所にも短所にもなっている。


封印作品の謎


封印作品の謎2


放送禁止映像大全




at 08:52|PermalinkComments(0) その他読書 

2007年07月28日

仕組まれた罠 DD

フリッツ・ラング監督 グレン・フォード グロリア・グレアム ブロデリック・クロフォード エドガー・ブキャナン

 これは駄目。全然面白くない。朝鮮戦争から復員し、鉄道運転手に返り咲いた主人公は、同僚の妻に一目ボレするが、彼女の夫は嫉妬から殺人を犯しており、主人公も巻き込まれる事に。
 感情移入できる人物がほとんど出てこない。強いて言えば主人公が居候する親友一家であり、或は主人公が復員した時の鉄道の仲間達は面白そうに思ったのだが、それはほとんど機能していない。かろうじて一家の娘が主人公に惚れているくらい。一方本筋は、自分の再就職の口利きを妻に強いておきながら妻の浮気を疑ったり、主人公に夫を殺させる為に主人公とねんごろになったり、主人公は人妻と知りながら惚れて一度は殺す為に尾行したり。勿論、それらはしっかりした描写を重ねれば感情移入は可能だろうし、そこにドラマは生まれるのだが、演出や演技が雑だとこのようにどうしようもなくなる。フリッツ・ラングだけあって、それなりの描写力はあるのだが(例えば冒頭シーンはほとんどサイレント映画のような運転席の二人のやりとりは心地よい)、内容をもう少ししっかりして欲しかった。
 アメリカ時代のフリッツ・ラングは出来不出来が激しいなぁ。グレン・フォードも三流役者。あれ、原作がエミール・ゾラになっている。これってまさか「獣人」が原作? だとすると惨い。


口紅殺人事件



*やっぱり「獣人」が原作でした。


at 01:18|PermalinkComments(0) 映画 

2007年07月27日

シオクルカサの不思議な世界 CC

橋幸夫著

 副題は「エピソードで綴る波乱の歌手伝説」ということと著者名で「シオクルカサ」が何か分かったでしょうか。そう、橋幸夫が初めてデビュー曲を貰った時に「潮来笠」をそう読んだ逸話のことです。
 特に橋幸夫が好きなわけではなく、代表曲くらいしか知りませんが、「週刊ブックレビュー」で取り上げられた時に勢いで予約してしまったらしい。今はその取り上げ方がどんなだったか覚えていないのですが。確か評者も別に橋幸夫のファンではなかったような気がします。
 橋幸夫著になっているけど、「日刊ゲンダイ」に連載したものを加筆しまとめたものとのこと。語り口から多分実際に本人が書いたものでなく語ったものをうまくまとめたのだと思う。しかし意外に構成や順番もしっかりしている。基本的に時系列でも、時に時代をいったりきたりするのが上手く、必然性も感じる。
 全て赤裸々とは言わないまでも、かなり本人のスキャンダルも逃げてはいない。僕の知らなかったスキャンダルも当然盛りだくさん。勿論、浮気ネタなどは奥さんとの関係が修復したから書ける事でしょうが。ここら、実に上手い。それまでこれほど献身的な妻はいないと持ち上げた上で、最後のクライマックスで、その妻との冷戦が始まる。浮気の事実は認めつつも、その時は終わっていた事だから本人にそれほどのやましさは無く、これまで一緒に生活していた事を夫婦一心同体、誠実の体現と思い込んでいる。一年にも及ぶこの戦いは多くは語られていないにせよ、真に迫る内容だった。
 実は橋幸夫が認知症介護のオーソリティになっていたことさえ知らなかったのですが、前に出した著書がそれについての本なら、本書は自伝の格好をした夫婦間の懺悔が主題だったかもしれないと思うほど。
 橋幸夫は、昔、小学生のとき、従姉につれられて橋幸夫の善福寺の家を見に行った事は意外に強く残っている。いや、それが橋幸夫か舟木一夫だったかは読むまではっきりしなかったのだけど。そこらの豪邸のエピソードは懐かしい。うまくするとお父さんに中に入れてもらい、帰りに二千円くらい握らせてもらえたかも、なんてのはタクシーで来た女子高生を説教してからの話。来るならバスで来なさいと。

 その他、橋は最初、コロムビア系の遠藤実に師事するが、遠藤の後押しにも関わらずコロムビアのテストに落ちてしまう。怒った遠藤は橋にビクターを紹介し、ビクターに入り、吉田正が第二の師匠となる。(遠藤はコロムビアなのでビクターの橋を指導は出来ない) 遠藤は橋がコロムビアでデビューした時、舟木一夫という芸名も用意していた。
 日本レコード大賞は設立二年目で新人賞を取るが、一年目に新人賞は無く、新人賞は橋幸夫の為に作られた、と本人は言っている。ただし当時のレコード大賞はあまり権威は無かった。
 御三家と言われているが、橋幸夫のみは二年先輩で、マネージャーは同列にされる事に怒っていた。
 美空ひばりはもしかしたら本当に橋幸夫に惚れていた? とても良くしてもらっていたのに、何故か結婚式には来てくれなかった。(最も目立つ席が空席になってしまった)
 善福寺の家は有名だが、実は密かに川口アパート(川口松太郎経営の芸能人御用達アパート)に住んでいた事があった。
 結婚前はほとんど金など持つ事は無かった。
 最後の大ヒットは「子連れ狼」と自覚しているが、グループサウンズにも挑戦したし、シンガーソングライターにも挑戦して、成功はしなかったが満足している。ちなみに「子連れ狼」は橋幸夫が歌うところまで時間があり(子供合唱団のパート)、橋幸夫のみだとテレビが映像を持て余した為、必ず合唱団と込みの出演となった。
 リバスターへの移籍は、歌手から経営者への転身を目指していた。(副社長になる) しかし肝心の営業をポニーに取られていたため、実質的にはレコード制作会社に過ぎず、そこからの脱皮を目指した。レコードだけでは駄目なのでゴルフ場開発にも手を出した。
 しかしリバスターは佐川急便出資の会社だった為、佐川事件に巻き込まれ、「橋幸夫逮捕」の一面報道までされた。(憶測記事で実際に逮捕はされていない)
 統一教会報道もされた。実際に統一教会とは知らずに「化粧品や壷を売る会社」が貸し切りをしてくれた事などあった。それが縁で一度だけ見学をした事はある。しかし統一教会報道で自分に直接取材が来た事は一度も無い。しかしこれらで社会から抹殺され、この十年は沈没の十年だった。(白目という言葉は人は横目で見ると正面からは白目になり、納得した)
 吉田正先生は最後まで心配してくれ、最後に再び遠藤実先生に自分を託して世を去った。
 母親の認知症問題。そして前述したクライマックスと言えるの夫婦の問題。最後の現在の状況は残念ながらあまりピンとくるものではない。(盆ダンスはマツケンサンバの次にはならなかったし、その他モンゴル親善大使、花火音頭など・・・)

 他にも石原裕次郎、市川雷蔵、吉永小百合他、様々な芸能人との交流話等もあります。


at 07:42|PermalinkComments(0) その他読書 

2007年07月26日

ディパーテッド DE

マーティン・スコセッシ監督 レオナルド・ディカプリオ マット・デイモン ジャック・ニコルソン マーク・ウォールバーグ マーティン・シーン レイ・ウィンストン ヴェラ・ファミーガ アレック・ボールドウィン アンソニー・アンダーソン

 これはちょっと酷すぎませんか? 改めてこれにアカデミー賞を与えた側も与えられたスコセッシも、勿論映画自体も酷過ぎる。一応、「インファナルアフェア」のリメイクということは分かっていたので、八割がたはそれなりに見れた。こんなものだろうとは思ったけど、それほどひどいとも思わなかった。最低限、スコセッシ、かと。
 しかしこの終わり方はひど過ぎる。終わり方が分からなくなって無理に決着をつけたのか。悲惨。こんな作品にでるなよ、久々だったのに、マーク・ウォルバーグ。腐って見えるよ。

HIDE.O's

Zom's



インファナルアフェア


インファナルアフェア2

インファナルアフェア3




at 01:34|PermalinkComments(0) 映画 

2007年07月25日

D列車で行こう BB

阿川大樹著

 三人の素人が廃線の決まった赤字鉄道路線の立て直しをしようとする話。三人は一人は関連会社行きを内示された銀行支店長、一人はその銀行の三十代総合職女性、そして最後の一人は定年した官公庁役員。三人はそれぞれに人生に行き詰まっており、路線を蘇らせる事に生き甲斐を見つける。本筋になれば展開は悪くないし、その背面にしっかりした裏打ちや面白い情報もある。唯一無いのは男と女の話にも関わらず恋愛沙汰がないくらいか。しかしそれも際どいところまでは描かれているし、避けられているわけではないようだ。中年男性二人、特に主役の銀行支店長は、本筋になる前にかなり克明に立場を描かれているし、恋愛を避ける布石も打たれている。それにも関わらずクライマックスの中にその問題を持ち出すところに作者の計算を感じる。
 面白い情報で僕が最も感心したのは、当然、本質的には興味が無い鉄道についてでなく、一冊の本を買う事で、オンライン書店における順位がどのように変移するかという実験。本当かどうかは分からないが、22万番台だった本を1冊買うと、しばらくすると9700位になっており、二時間後11000位、十時間後23000位、二十四時間後54000位、二週間後230000位、つまり22万位の本は二週間に一冊しか売れない本ということ。買ったとたん、一気に21万追い越すというのもインパクトありますけどね。
 ちなみに廃線回避プランとして濡れ煎餅を売る、という、或はそれに類するアイデアでないからご安心。年間三千万の赤字で廃線になるという設定をどうとらえるかはともかく、最初のうちはちょっと ? なところもあるが、段々に納得のいく展開になっていき、ドラマのポイントをしっかりと押さえている。しかも、クライマックスへの布石を明確に打ちながら、しっかり読み手が感心する結末を用意している。見え見えの布石をそのまま使わないところに一本!やられた、って感じ。
 著者の経歴を見ると、夢の遊眠社出身。ここに発想の裏付けがあるような気がした。エンディングだけはちょっと出来過ぎと思ったけど、まあいいでしょう。後味がいいにこしたことはない。




at 10:12|PermalinkComments(0) 小説