ようこそ hirot'sBlog へ

2004/11/25
本BLOGの公開を
開始しました。
映画は、今世紀に入って
ほとんど劇場では
見ていません。
主にDVD、CS、BS放送
による観賞です。
表題後ろにあるのが評価で、
前は客観点(出来の良さ)、
後は主観点(好き嫌い度)。
A-Eにするつもりですが
客観・主観とも
Cが及第点として、
Aが最高評価
Eが最低評価
とお読みください。
よろしくお願いします。

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hiro


2007年06月

2007年06月30日

TV時評6月終了を中心に

 実は番組開始時に書き始めたのだけど、中途半端に放ってあった。だから終了時に開始時の感想(イタリック部分)と併せて書いてみよう。

どんど晴れ
 勿論「芋たこなんきん」のような面白さは期待すべきではない。まあつまらなくない程度の無難な出来。あまりブレイクする要素も感じられないが、「つまんないなぁ」と見るのを苦痛に思わないようにして貰いたいものだ。目覚まし代わりなもので。(8時15分起床でなく、BSでの7時半起床です)
 これはまだまだ終わらないが、相変わらず面白いようなタルいような。まあ朝ドラはそんなものですか。宮本信子がはしゃぎ過ぎの感じ。一方、典型的悪役だったあき竹城が味方に回って凄い儲け役になっている。結局、単純にミエミエの苦難に苛立ち、あき竹城のようなホッとするシーンに反応してしまっている単純な視聴者と自覚してしまう作品。

プロポーズ大作戦
 過去に戻ってやり直す話(ただしSFではなく神様物)ということで期待したけど、初回を見た限りでは全く駄目。毎度このパターンを繰り返す(写真の時に戻って恋を実らせようとする)としたらかなり苦しい。長澤まさみがヒロインだけどちょっと背伸びしている感じで魅力を出し切れていない印象
 以上が開始時の感想だけど、最後まで変わらないかな。思ったよりは見られて、たまに感動的なエピソードもあるけど(夏八木勳演ずるおじいちゃんのエピソードは良かった)、偽善的な藤木直人の演技にゾッとし、相変わらず過渡期的長澤に苛立つ。
 このドラマのどんでん返しのやり方は最悪である。これを見たとき、「卒業」の凄さが改めて分かる。略奪婚ではないこれほど全ての人間にとって後味の悪いやり方はあるだろうか。藤木の最後のトリックは思いやりだろうか。それよりもその後のマリッジブルーの回避だったと思う。

花嫁とパパ
 時任三郎の過保護な父親がいい味を出している。石原さとみはあまり好きではないのだけど、宮崎あおいよりはかなりマシと思い出している。和久井映見がオバサンになっているのが悲しい。小泉孝太郎は「ハケンの品格」と正反対の役柄を好演している。親父よりはいいかもしれない。序盤二回は無難な出来。
 こちらは親子に婚約者の朴訥ぶりが周りを感化させるのが心地よい。

 「セクシーボイスアンドロボ
 原作は知らない。結構期待したけど、ドラマとしていまいち乗り切れていないのだけど、面白くなりそうな要素はある。少なくとも浅丘ルリ子のキャラで見続けようと思ったが、大化けしてくれたら嬉しいのだけど。松山ケンイチは「デスノート」のエル役で注目したけど、良い悪いは別にして型にはまっていないヘンな役者だな。ヒロインの大後寿々花もアイドル系とは思わないけど意外に面白いかも
 これは結果的に主人公はほとんど面白くないのです。ただし、毎回登場するゲストが素晴らしく、興味を持続させてくれた。悪役が面白い作品でした。(原作漫画も読みましたが、僕はドラマの作りの方が面白いです) 立て篭り事件の影響で一話放送されなかったのが残念。

 「バンビーノ
 岡田惠和脚本という事で一番の期待だったのだけど、「アンティーク」というユニークなパティシエ物をモノにした人とは思えないほど凡庸な料理人物。まあ原作があるのだから仕方ないかとも思うし、凡庸な展開なりに見れる出来にはなっているのだけど、やっぱり岡田惠和にはこのような凡庸なドラマは作って欲しくない。今後のブレイク、北村一輝のキャラに期待かな。
 結果として、まさに根性物として予想通りに見られる程度で、プラスアルファはなかった。いかにも無難。時に説教がウザい。一方で最終回も近くなり、突然料理熱中に水を差されて悩むエピソードなど、シラけてしまう。結局、最終回までタルい内容になってしまった。

 「ホテリアー
 韓国ドラマのリメイクながら上戸彩の主演という事で。
 凡庸なドラマで、上戸彩もあまり面白くはない。及川光博のみ、相変わらず浮世離れした存在感で興味を持てた。全編に渡って及川をもり立てた相棒の裏切りも面白く、結末も凡庸だが楽しい逆転。

 「孤独の賭け
 原作は「人間の条件」の五味川純平なんですよねぇ。これ、中学か高校時代に読みました。「人間の条件」の人がこんなのも書くのか、とそれなりに楽しんだ記憶がありますが(少年の背伸びですね)、第一回を見た限りでは、イマイチかな
 ずっと微妙に見続けるという感じで、ヒロインの復讐が終わったあたりの消化不良感がなかなか良かった。長谷川京子の親友役である田畑智子が「芋たこ」に続いて良い味を出していた。あと、出演者がみんな笹野高史を絶賛しているが確かに。いつもの名傍役がフィクサーを好演している。ただし、中盤における良き消化不良感が、完結時には悪き消化不良感になってしまっていた。残念。


 「わたしたちの教科書
 実は「孤独の賭け」との同時間帯としてはこちらを期待していたのですが、こちらは録画予約した筈が、容量不足で録画されておらず第一回を見損ねた。(思えばこの日は最悪の一日でした) 菅野美穂主演。
 そのまま録りっぱなしで未見。

 「大きく振りかぶって
 深夜時間帯ながら話題作漫画のアニメ化。原作を読みたいと思っていたので早速見たけど、第一回見た限りではなるほどね、という感じ。確かに面白くなる可能性は秘めている。まだそれほど面白くはないけど。
 絵は気に入らないけど、今のところはストーリー的には丁寧な作りで面白い。ただし、このペースだとある程度の内容を描こうとするとどれだけかかるか。中途半端に終わる予感。

 「生徒諸君
 これは教師編のドラマ化ですね。オリジナルである生徒編は全部読んで、それなりに面白かったけど、教師編は未読。内山理名のナッキーと堀北、黒木メイサという「着信ファイナル」コンビの生徒に期待なのですが。
 これは面白かった。内山は個人的にはナッキーとして心に残りそう。「青春とは何だ」以来の教師像とはひと味違った(勿論金八や熱中先生とも違う)教師の理想像を見た感じ。僕は生徒だった「生徒諸君」も読んでいたので、その微妙な目配せも泣けた。一度くらいチビも登場して欲しかったな。(話題の中でだけ登場) 映画の「タイヨウのうた」ではピンとこなかったけど、今回のYUIのエンディングテーマもいつのまにか染み込んだ。

 「特急田中3号
 僕には田中聖はせいぜいユニークなサブキャラとしか思えないのだけど(主演をやるには10年早い)、栗山千明見たさ。テッチャンを題材にしているというのも興味があったけど、初回はあんまり面白くなかった。二回目でかなり盛り返す。栗山千明の味が出てきた。都電とはいえ、電車と競走するのは「上海ブルース」を思い出した。ところで栗山千明って、若き日の(「魅せられて」なんかよりずぅっっっと前の(松原千恵子の妹役なんかやっていた頃の大好きだったジュディ・オングに似ている)
 「生徒諸君」と並んでこれがこのシーズンで最も面白いドラマの一つだった。田中もそれなりにキャラを出し、男側、女側、両方の友人グループが見事に機能した感動作。つかずはなれずの引っ張りも最後まで見事だった。加藤ローサについては「いちばんきれいな水」で既に書いたが、勿論、ヒロインの栗山千明は最高に良い。

 「帰ってきた時効警察
 第二シーズン。
これは相変わらず、かな。絶賛する気はなく、そこそこの脱力系の面白さ。

 「冗談じゃない
 織田裕二ということで。上野樹理、大竹しのぶとの競演で、予定通りそこそこの面白さにはなっている。でもこれからブレイクしなければ嘘でしょう。でも、上野樹理って「のだめ」以外は持ち味を活かせていないんだよなぁ。飯島直子がこれからどのようにからむか。
 最後までのりきれなかったなぁ。飯島と田口浩正がそれなりのアクセントになってくれただけで、織田の奮闘も空回り気味だった。似たような感触の映画でも「県庁の星」が攻めの姿勢だったのに対し、こちらは終始受けの姿勢というのが、織田のキャラに合わなかったのでは。



at 07:31|PermalinkComments(0) TV 

2007年06月29日

シミキンのオオ!市民諸君 CC

川島雄三監督 1948(松竹大船)(原)横井福次郎(脚)斎藤良輔、津路嘉郎(撮)西川亨(美)森幹男(音)木下忠司(出)清水金一、高屋朗、朝霧鏡子、堺駿二、南進一郎、小池妙子、山田英子、中尾幸子、古川喜久、松本秀太郎、鈴村一郎、藤山龍一、勅使河原幸子、横尾泥海男、石井三笑子、松竹歌劇団

 このブログを始めてから恐らく初めて劇場で映画を見た。と、言ってもフィルムセンターですが。昨年、川島雄三映画を通して見たとき、見られなかった作品が一本だけ、今回のフィルムセンターの川島雄三特集で上映されたからだ。この作品は「シミキンのスポーツ王」の前に位置し、僕としては処女作「還ってきた男」の次になる。ちなみに、この間に未見の作品として「追ひつ追はれつ」「笑ふ宝船」「深夜の市長」「追跡者」の四本があり、更に13本目の「相惚れトコトン同志」を見れていない。久々のフィルムセンターだったが、劇場自体は同じだが、切符を買う為に並ぶところとしてソファーが用意され、順番や入り方も昔より丁寧になっていた。一般館も(ソファー等は除いても)このくらい丁寧な対応になってくれていればいいのだが。

 肝心の作品自体。既見の「スポーツ王」がこの作品を踏襲したであろうことは容易に想像できたが、まさにシミキンと堺俊二のライバル関係などは似ているのだが、テーマ自体は全く予想と違う作品だった。「市民諸君」というからには、そういう作品かと思いきや、無人島争奪戦の話。つまり正確には「島民諸君」と言うべきか。(勿論、それはそのまま観客へのメッセージとなっているのでこのタイトルは間違いではない)
 まず笑わせてくれるのが、蒐集趣味の俗悪社長の収集品。「孫悟空の卵」(つまり石)とか、そんなもの。そして500万で今回買ったのが「ナマズトウ」とかいう茶器の筈が、買って帰った部下の堺俊二が「僕はクビでしょうか」と嘆くのは、買ってしまったのは茶器でなく「なまず島」という本物の無人島だったから。一度は怒る社長だが、腹心がそこをカジノのような遊興施設として開発すれば良いと入れ知恵をし、堺俊二は社長令嬢とその三人の女友達と五人で無人島視察に行く。しかしそこにはシミキン他男四人と女一人の漂流者が居住していた。そこで所有権と居住権の対立となる。
 この対立が、堺俊二側は女四人に男一人、シミキン側は男四人に女一人、合計すれば男女数ピッタリなのだが、そのような安直な展開にはなっていない。ただ、堺俊二もシミキンも矢面に立つだけで、実権は社長令嬢(朝霧鏡子)と漂流側の紅一点(勅使河原幸子)がもっている。
 この所有者と居住者は、文化と土着の対立であり、その表象として文化側のジャズと、土着側の日本のメロディという分かりやすい構図になり、言ってみれば「カサブランカ」における酒場での国家の歌合戦的シーンもある。
 後半、社長との交渉という事で都会に連れ出された代表のシミキンは文化的生活と社長令嬢に懐柔され洗脳されて島に戻るが、仲間に裏切り者扱いされ、ほとほと困ったところに、なまず島が地震により沈没するという警報が・・・・
 正直、現在見て、この作品の最も大きな欠点は当時のウリであったであろうシミキンの魅力の無さにあるだろう。(それは次の「スポーツ王」も同様) しかもライバルたる堺俊二もまだコメディアンとして一本立ちしてはいない。シミキンは現在最も連想するタレントは見栄晴で、その程度の魅力しか感じないのに、主役を張ろうとするギャップが痛々しい。
 しかしそれ以外は、この作品はそれなりに興味深い。成功しているかどうかは別としてミュージカル仕立てにしようとしている試み(松竹歌劇団を使っている)は、前述の歌合戦シーンも含めて旺盛だし(ただしレビューにまでしていないのも良い)、文化の象徴としてのラジオ(しかしシミキンが仲間の前で鳴らすと、貧しい配給放送が流れる)、地震情報で慌てた両方が、互いに相手に助けを求めようとするシーンの面白さ、そして果ては、「日本沈没」より遥かに早く島を沈没させ、しかもジョーズならぬなまずに飲み込まれるスペクタクル(勿論、それはお笑いに転化されている)。或は、一度は社長令嬢になびいたものの、地震で死ぬ事が分かり、最後の時を一緒に過ごすよう和解した恋人達のもとに社長令嬢がやってくる。再び三角関係を復活させる為ではない。二人に詫びを入れるのは良いとして、「あたしは一人で死んでいくのよ」と走り去るシーン(彼女は恋人に去られ、しかも父親にもカジノのことを伏せられていて騙されていた事を知るのだ)に、もはや残された恋人達に束の間の幸福も感じられない。奇しくもパンフレットで長部日出雄は「シミキン」二作で川島雄三に入り、戦後の変格派と認識した上で、後で処女作を見てその真っ当さに仰天したそうであるが、まさにこの作品は後の「グラマ島」にまでつながる変格派と言えよう。
 もう一つ。二人のヒロイン、朝霧鏡子と勅使河原幸子の二人が後の川島映画のヒロインを象徴しているような存在感だった。特に勅使河原の登場シーンの色っぽい描写(ターザン映画に置けるジェーンのごとき存在)、勿論、彼女のような存在感は最後の団令子まで続いていく。

川島雄三リスト
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at 00:08|PermalinkComments(0) 映画 

2007年06月28日

シュークリーム CC

小泉吉宏著

 「うつうつ日記」で知って、読んでみた。なかなか面白い絵本。生きているシュークリームが可愛らしく、展開もスムース、終わり方もスムース。単に五個入りのシュークリームの一つだけが生きていて、それを飼い始め、つがいを見つけてやり、というだけの話なんですが。やがて子供が生まれるけど、生きていないベビーシューは食べて良くて、シュークリーム屋を始めるあたりも笑えますし。


at 06:16|PermalinkComments(0) 小説 

クリムト CC

ラウル・ルイス監督 ジョン・マルコビッチ ヴェロニカ・フェレ サフロン・バロウズ スティーヴン・ディレイン ニコライ・キンスキー

 なんで知ったのか忘れたけど(或は単に新発売リストでクリムトとマルコヴィッチの名前に惹かれただけかもしれない)、微妙な作品だな。面白いようなつまらないような。昔、「エゴンシーレ」が公開された時は、エゴンシーレなんて知らないで見ないまま、今日に至っているけど、本作ではシーレやメリエスなんかも出てくる。単なる伝記映画ではなく、死の直前の走馬灯のような人生が、単なる振り返りではなく、幻想と溶け込んだような内容。ファムファタールに振り回される描写も悪くないけど、シーレと一緒にゲームのごとく代わる代わる絵を描いていくシーンなんかもなかなかのもの。
 ただ、何か一つ物足りなさも感じてしまいました。




at 06:14|PermalinkComments(0) 映画 

2007年06月27日

うつうつひでお日記 CC

吾妻ひでお著

 「失踪日記」は面白かったが、この二冊目は本屋でちょっとパラパラめくっても何故か買う気がしなかった。誰か買った読ませてもらおうと思ったけど、身近で読んだ人はいなかった。で、随分経ってから図書館で予約して、やっと順番。先に三冊目の「逃亡日記」の順番が来てしまったのだけど。
 これを買う気がしなかった理由が分かった。最初の一話が非常に読みにくいのだ。漫画にもなっていない絵と文章。つまり著者の意図とおり純粋に絵日記なのだろう。読みにくい。しかし後になるに従って、慣れもあるが徐々に漫画にもなっていく。そうなると、まあまあ面白くなっていく。
 「失踪日記」が純粋に自伝的(或は体験的)漫画、「逃亡日記」がインタビュー集プラスアルファ(この「うつうつ」と反対に冒頭の漫画だけがかなり面白い)なのに対して、この「うつうつ」は繰り返すが純粋に「絵日記」(が漫画日記になっていく)。しかも、これが「失踪日記」の続編ではなく、逆に「失踪日記」後における精神病院からの退院から、「失踪日記」が出版されるまでの日記であること。つまり、ここには最後の数ページまで、成功は無く、タイトル通りうつうつとした日々なのだ。酒にさえ逃げられないのは、スカダーを思い出すほど。(一方で中島らもの死もかなり言及されている) 本書において「夜を歩く」三部作として宙ぶらりんであり続ける漫画こそ「失踪日記」であるという言わば前日譚になっている。(しかし「失踪日記」の続編でない事は明らかだろう)
 本書の面白さは二つ。一つは繰り返される日常、その繰り返しが逆に飽きなくなってくる。(そして同時に昨年の僕の一年に何と似ている事か! 図書館通いに納豆キムチご飯卵入り、僕の場合はナムルだけど) もう一つは乱読する情報量。情報と言っても感想ではなく単なる印象だけなのだけど、それでも読みたいと思った本は多い(今後のこのブログに反映されるだろう) 唯一、格闘技好きだけは興味ない僕には邪魔だったけど。
 冒頭で挫折しなければ面白いです。


at 06:21|PermalinkComments(0) 漫画 

2007年06月26日

天使の卵 CC

冨樫森監督 村山由佳原作 市原隼人 小西真奈美 沢尻エリカ 戸田恵子 北村想 鈴木一真 三浦友和

 原作の村山由佳はちょっと前までは全く興味がなかったのだけど、ラジオのゲストで出たとき、西部劇が好きとか牧場をやっているとか、今となってはうろ覚えなのだけどちょっとイメージの違う印象を受けてちょっと興味を持っていたけど、実際にまだ本を読んだ事は無い。(一冊買いっぱなし) だから代表作の映画化という事で、しかも小西真奈美と沢尻エリカということでちょっと気になっていた。
 映画は悪くなかった。どうしようもない内容になりかねないところを、ぎりぎり回避してそれなりの出来にはなっている。多分、原作小説もそうなのだろうと思う。
 父親が重い精神病を患い、母親が料理屋をきりもりしている主人公は美大を目指す浪人生。恋人が沢尻エリカなのだけど、そんな中で運命的な出会いがあり、その相手は父親の新しい担当医で、しかも恋人の姉だった。それが小西真奈美。出来過ぎのシチュエーションだが、父親の死、小西真奈美の過去の恋の顛末と、それなりに上手い展開、しかも映画自体、微妙に時制をずらしながら展開している。
 何よりも小西真奈美が期待通りに素晴らしいので、全てを許してしまう。「UDON」のような腑抜けた役柄ではなく、しっかり陰影があるキャラ。彼女を追っていくだけで満足という映画。沢尻の方はちょっとそんな役柄だが、こういう役をしっかりこなす彼女はやはり上手いのだろう。もう少し彼女も描くべきだったとは思うけど。長澤まさみの大人のキャラがまだピンとこないのに対し、沢尻の方は教師としての登場はそれなりにサマになっている。市原隼人は「チェケラッチョ」の子か。考えてみれば似たような役柄だけど、まだそれほど印象に残る役者にはなっていない。
 残念なのはやはり結末が弱い。クライマックスの後、まとめかたが弱かった。それで時制のズレが活かしきれなかった感じ。そこのところでもう少し沢尻エリカを描くべきだったと思う。単なる語り手にしてはいけなかった。絵を描く事は当然の成り行きだろうが、その顛末描写の弱さが残念。最後に絵を見せる必要もあったのか。見せない方が良かったように思う。
 小西が春妃(ハルヒ)、沢尻が夏妃(ナツキ)というのは姉妹の名前として上手いなぁ。

Zom's



at 00:29|PermalinkComments(0) 映画 

2007年06月25日

手をめぐる四百字 AA

季刊「銀花」編集部編

 こうした企画自体に脱帽、最高評価します。それは一般的にも個人的にも変わらないと思います。もっとも、こんな字、読めないよ、とお手上げの人の評価は別でしょうし、充分有り得る反応ですが。
 これは季刊「銀花」という雑誌で連載されたらしいコラムの二百余名の中から五十人を収録。「手」というテーマを扱った四百字(一般的に原稿用紙一枚)というお題に加えて、自筆原稿を掲載し、更に推敲までもさらけ出す。もっとも、この印刷されたものがどれだけ本物か、考えてみれば四百字にまとめること自体、推敲を重ねなければ、一発で出来るものではないだろうし、そうなると推敲の形跡は、それ自体、修飾なのか。
 いや、そんなことはどうでもいいじゃないか。ここに肉筆原稿が存在している。勿論、かなりの人の原稿は前述したように、一目見ただけで放り出されても仕方ないほど読みにくい。しかし敢えてそれでも読もうとしてみて下さい。不思議なほど読めてしまう。いや、読めない部分もある。でも、ニュアンスで伝わるものさ。
 メンバーは有名人もいれば、僕が全く知らない人もいる。でも、それぞれの内容はかなり面白い。(全員とは言わない。文句無く面白い人から、なかなかな人、読める人、つまらない人まで玉石混合)
 まあ、読みにくい、しかし内容が凄い、と、本書を手に取ったら、無理して車谷長吉の「悪の手」(p56)を読んでみて下さい。(読もうとしてみて下さい) これで買う決意をするかもしれないし、読み終えていいや、と思ってもこの一作は心に残るだろうし、読めなかった人はそれであきらめもつくし・・・まあ、他の目についた人を立ち読みでもしてもらえれば儲け物かな。

 僕は文句無く面白かったです。こんな本は滅多に無い。


at 00:06|PermalinkComments(0) その他読書