ようこそ hirot'sBlog へ

2004/11/25
本BLOGの公開を
開始しました。
映画は、今世紀に入って
ほとんど劇場では
見ていません。
主にDVD、CS、BS放送
による観賞です。
表題後ろにあるのが評価で、
前は客観点(出来の良さ)、
後は主観点(好き嫌い度)。
A-Eにするつもりですが
客観・主観とも
Cが及第点として、
Aが最高評価
Eが最低評価
とお読みください。
よろしくお願いします。

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hiro


2006年01月

2006年01月31日

日本やくざ伝/総長への道 CC

マキノ雅弘監督 高倉健/若山富三郎/鶴田浩二/野川由美子/嵐寛寿郎/木暮実千代/近衛十四郎/松方弘樹/北川美佳/大木実/玉川良一

 マキノ+高倉のDVDBOX四作目。藤原審爾の原作となっているけど、多分これも影も形もないのだろうな。何しろ、全然総長への道にはなっておらず、ほとんどが逃げた女を追っていく話なんだから。
 冒頭で、野川由美子の為に若山は人を殺し、刑務所から帰ったら一緒になってくれと云い残すが、野川が好きなのは高倉だった。しかし高倉は若山を裏切らず、それを知った野川は絶望してスケコマシと駆け落ちする。若山が帰る前に連れ戻そうと野川を追う高倉だが、旅先で総長のライバルである高倉を消そうとアラカンの組の助っ人をするよう仕組み、自分はアラカンの組を潰そうとする遠藤辰雄に助っ人する天津敏。毎度の事ながら、遠藤側につかざるを得ない鶴田浩二、と。大木実は今回も高倉の相棒。他にどうでもいい役柄なのに看板の一人となっている松方弘樹が出演しているが、あまりにも中途半端で笑ってしまう。
 いや、この作品、笑い事ではない。ヤクザの勢力争いを描く筈が中心となる話が野川由美子になってしまうのはマキノらしいとはいえ、予告で新シリーズ第一作をうたいながら、結局、後は作られない。後ろに控えるのはまさに勢力争い映画の「仁義なき戦い」と云っていいだろう。今回もまた、鶴田は味方の卑怯な行いによって隙が出来て高倉に斬られながらも風格を持って死んでいく。今回もまたぎりぎり間に合った若山は相手を倒した直後に滅多刺しにあい、死んでいく。高倉とて、とても無傷とは云えないひどい刺され方をする。しかし何より、老いさらばえたアラカンの悲惨な描写が胸を打つ。まさに任侠ヤクザ映画の終焉を見るがごとし。木暮実千代がそれに追い討ちをかける悲惨な最後を演じてみせる。
 正直、僕はこの作品の野川を好きにはなれないし、最後の高倉とのやりとりも見るのは辛い。そこに野川と藤純子の女優の差がまざまざと出ているのだと思う。
 しかし、若山の死に際の高倉とのやりとりは感動的だ。ここには若山の片想いと共に、高倉の忍ぶ恋が若山によって表に出されている。正直、野川とのやりとりでは、僕は素直にそれを感動する事はできなかったのだ。(そこが藤純子との差だと思う) しかし若山によって素直に高倉の心情に感動する事が出来る。映画は全く総長への道を見せてはいない。ひたすら、野川、若山、高倉の遂げられなかった恋を描いてみせ、そしてアラカンと鶴田により、任侠映画の終焉を示してみせているように感じた。鶴田の「決して道はあやまらないでおくんなさい」と云う遺言に涙するのも束の間、鶴田の死を高倉に転嫁する遠藤の最期はまさに任侠映画の最期なのかもしれない。

 折角、近衛十四郎が出ていたけど、見せ場はなかったなぁ。クライマックスの斬り込みに置ける若山が勝新太郎と重なって見えてしょうがなかった。これまであまりそんなことはなかったのだけど。それにしても松方弘樹は中途半端だったなぁ。

*尚、この映画も予告編に、本編にはないカッコいいシーンが入っている。地面に刀をさやごと突いてさやが割れて本刃が出るシーンなんて見事。でも、家宝の刀のさやを割っては不味いよね。 続きを読む

at 10:24|PermalinkComments(0) 映画 

2006年01月30日

ごろつき  CC

マキノ雅弘監督 高倉健/吉村実子/菅原文太/大木実/三益愛子/渡辺文雄/金子信雄/沢村忠

 マキノ+高倉三本目。残念ながら藤純子は出演していないが、吉村実子、菅原文太、そして三益愛子が母親役で出演。大木実は今回もいい役で出ている。
 今回の作品は奇妙な作品だが、当時流行っていたキックボクシングを取り入れたかったのだろう。沢村忠が特別出演している。(その他二人のプロは申し訳ないけど僕は知らない)
 導入部は炭坑からプロのキックボクサーを目指して上京することを決意することが描かれる。ここらは完全に三益愛子の母物の雰囲気。弟分の菅原文太が同行するが、まだその後の格はない。終盤で一人殴り込みをかける部分のみ、文太らしいが、当時の格では結果は惨めだ。そしてそれ以外では、健さんに劣らぬ(凶暴そうという意味ではそれ以上の)目つきの鋭さがマイナスに作用していると思う。そりゃあ、この役柄は長門裕之あたりが適役だっただろう。
 前半の状況の戸惑いと、生活が安定するまで(ボクサー見習い兼お手伝いと、流しの歌手の兼業)がなかなか楽しい。また回想シーンでのスッポンのエピソードは再び母物の感動。面白悲しい。
 中盤は健さんがキックボクサーして成長する姿と、流しの方での暴力団との対立が描かれる。そして試合で勝つものの、暴力団との対立は頂点に達し、映画は完全な任侠映画になる。
 試合シーンの描写の下手さはちょっと目を覆う。練習シーンやスパーリングはそれほど悪くなかったのに。一方で殴り込みシーンは逆にいくら故郷でゴロツキと云われたとしても刃を素人がこれほど使えるわけないだろうという逆の不自然さをかまわずまともな任侠映画。ジムのオーナーも大木実が自分の過去を語り、お前にはチャンピオンになって欲しいと願うシーンが格闘技映画と任侠映画の境目か。
 殴り込みシーンは「侠客列伝」から一転、悪役の渡辺文雄を追いつめていく過程がこれまた不自然なほどじっくりと描かれる。
 そしてエンディングもまた、達成感は描いているのにハッピーエンドを感じさせない前二作とは違い、再び三益愛子を描く事により、一種の救い(ハッピーエンドの片鱗)を感じさせる。

 吉村実子はよく知らないのだけど、この作品にピッタリのカラッとしたヒロインを演じて好演。三益愛子のくだりはまさにマキノ節。沢村忠は前半に少しだけからむけど、懐かしい。高倉とスパーリングしてくれるほどのサービスシーンはないものの、予告編では本編にないからみも見れます。
 それと、流しの健さんが四曲(?)。新曲の「望郷子守唄」が目玉で、炭坑節(だっけ、月がでたでた・・)はご愛嬌で、その他二曲は「網走番外地」と「唐獅子牡丹」。なるほど。心配だったけど、これなら堪能出来ます。 続きを読む

at 21:41|PermalinkComments(0) 映画 

2006年01月28日

近況

*個人的覚え書きに近い内容なので、長い割に意味はありません。

 相変わらず腰の据わらない日々。でも先日、SSさん宅にお伺いして、少しばかり気は楽になった。職安で説明会もあった。面倒だが仕方ない。とりあえずこの説明会が一度の就職活動にカウントされるので、半月は猶予された。次回は二月二日。ふう。
 DVDレコーダーが次々壊れる。というか、一台は前から壊れていたのを忙しさにまぎれてほったらかしていたのだが、二つ壊れては仕方ない。修理を依頼する。ついでに、昨年からわかっていたモニターの無償修理も依頼する事にする。とはいえ、僕はモニターとTV、AV関係、全て一台で済ませていたので、これがなくなるとPowerBook以外、全て使えなくなってしまう。仕方ないので、安い代替モニターを買う。後で、無償修理の際、代替機を貸してくれたと知るが、まあいい。しかし新しいソニーのモニタは安いけど(安いから)前のモニタに比べて使いにくい。何より反応の鈍さに唖然とする。PC,TVの切り替えに数秒かかる。スイッチを入れること自体、入らなかったのかと思って再度スイッチを押して消してしまうほど。仕方ない。修理に出したEIZOはすぐに線が入った初期不良品だったが、PC,TV,AVまわりはかなりよく出来ていた。あれから十年弱くらいたっているのに、PC,TVは、モニタとTVどちらを選ぼうと使えるのに、小回りは効かなくなっている。
 モニタは引き取られたが、レコーダーはその場で修理してくれた、いや、修理というより、その場で悪いものを丸ごと交換してしまうのだ。持ち帰る必要はない。これは凄い。昔とは修理の概念が違うと云うか。一台はDVDレコーダー部分を丸ごと交換して簡単に終了。もう一台は凄い。まず基盤を交換(スイッチが入らないから)、次にHDDの交換。元々HDDエラーが始まりだった。更にDVDレコーダー部分も壊れていて交換。これは外枠とチューナー部分以外、ほとんど全部交換で、さすがにサービスマンも苦笑いだった。
 問題は、保証期間。一台は購入半年くらいなので問題はない。しかしもう一台は一年半は経過していて、保証は効かない筈である。しかしサービスマンはこちらが交渉するまでもなく、無償で修理してくれた。これもまた、コチラの問題でなくもアチラの問題だったのだな。元々、東芝は機能は最高なのだが(素人向けでなくマニア向けなので販売競争は難しいが)、DVDまわりの評判は悪かったのだ。一時、自社開発ドライブを使いだしてからは最悪で、実は僕もそれは分かっていたのだが。ちなみに、今は前に戻して松下のドライブを使っていると思う。
 しかし、レコーダーは修理後が大変なのだ。勿論、配線も頭がおかしくなり、いかに慎重に行っても、何度も間違えた。WOWOWを複数台で見ること自体困難なのに(僕は二台までしか見れるように出来ていない)、CSがあり、更に三台のレコーダーの無線インターネット設定を行わなければならないのだ。僕は使うのは好きだけど設定は大嫌い(誰でもでしょうが)、しかも苦手。一階で有線で設定した上で、無線に対応した事を確認した上で二階の自分の部屋に持っていかなければならない。結局、これだけで半日潰れてしかもクタクタ。部屋はコードだらけだ。
 会社勤めしていた時は確実に早ければ五時半、遅くとも六時十分には起きたのに、それゆえ、朝日を見る為に五時に起きるのも簡単だったのに、ここのところ、七時半でも寝過ごす事がある。起きだすのは八時だ。別に夜更かししているわけではないのだが、体が鈍りだしているのだろう。
 それでも、早朝は無理として、なるべく歩くようにはしている。これまでの毎日下北沢往復通勤したのを、これこそ鈍らせたくはない。渋谷は40分(下北沢より近い?)、恵比寿は三十分強。SSさんの尾山台は一時間以上と、予想以上に遠かった。考えてみれば当たり前。すぐに等々力、そして多摩川なのだから。先日は六本木経由、乃木坂辺りまで往復した。その前は有栖川公園まで行っていたので、思っていたより近い。これなら銀座辺りまで行けるかな、とも思うが、さすがにちょっと躊躇する。片道は行けても、帰りは電車にしたくなるだろうな。
 時々、会社の女の子から七時から九時の間にメールが入る。カノジョではなく、仕事を一手に引き継いでもらった子だ。可哀想に、僕がいたときは、僕に習ってよほどでないと残業などしなかったのに、今はやっとこの時間に問い合わせメールを書けるのだ。出来るだけ丁寧に答えてあげる。いつまで対応出来るものやら。体で覚えていたので、位置は分かっても言葉が出ないので説明しにくい。

 映画は思ったほど見れない。しかしマキノ高倉の東映DVDBOXは一日一本を楽しみに堪能した。本編を見た後、特典映像の予告とスチルを見て、それから感想を書き、それから付録の冊子のその映画の部分を読む。最後にそれを読んだ上での覚え書きを追記に書く。マキノ映画は録画しっぱなしのエアチェック作品も多いので、任侠映画を中心に更に何本かは見れるだろう。それにしても、同じDVDBOX、マキノを見ると、「石井輝男」は毒だなあ、と思う。しかしそれではマキノは薬? 菓子? ちょっと違うけど、なんなんだろう。



at 17:59|PermalinkComments(0) ETC 

水鳥と鳥

 SSさんの新作が水鳥一本勝負と知ってかなり驚きました。ちょうど僕も類似したテーマで仕上げて寝かせていたからです。
 おそるおそる「MotherNatureSun」を見て、なるほど、と感心すると共に、僕のとは違っていて、ちょっとホッともしました。僕はこのような写真を年末に撮ろうとして、かなり失敗してしまいました。それなりに撮ったな、と思っていたものがみんなピンボケのつまらない写真になってしまっていて、がっかりでした。ピンボケばかり撮っている僕がそう云うのもおかしいけど、やはり単にシマリのない写真は救いようがないと実感しました。それに対して、こちらはさすがに一本勝負と云うだけあって、うまくとらえていますね。それにHIDE.Oさんも指摘しているけど、背景となるべき水、波紋がいいですね。それと水面を飛び立つ瞬間をよくとらえましたね。僕は短時間で数百枚撮ったけど、同じような場面はとらえられなかったです。終わりだけはスッと終わってしまって、ちょっともう少し見たかったな、という感じが残ってしまったけど。でも、終わり方としてはちゃんとしているんだけど・・・

 僕の方は見ての通り、なんだけど。最初、どうせならヒッチコックの「鳥」をイメージしたいな、と思ったのだけど、結果的にタイトルだけ、陳腐に残ってしまった。タイトルは別タイトルも考えたけど、それがピッタリというわけでもないので、結局そのまま残してしまった。
 最初、捨てきれないで八分弱で作ってから、思い切って半分くらいにしてしまったのだけど。よく分からなくなって寝かせていました。SSさんのを見た後、見直してみたら、これはこれでいいだろう、と、自分なりに納得して、云ってしまった事もあるし。アップしてしまいます。ここでもまた「写真」「スライドショー」「動画」について少し考えてしまったけど、これはこれでいいんだ、と自分なりには納得しています。

at 12:40|PermalinkComments(0) スライドショー 

2006年01月27日

侠客列伝  CC

マキノ雅弘監督 高倉健/藤純子/若山富三郎/鶴田浩二/長門裕之/宮園純子/桜木健一/里見浩太朗/大木実/藤山寛美

 マキノ+高倉DVDBOXの二つ目。タイトルは内容とほとんど一致しないが、後で予告を見て「日本侠客伝」シリーズの延長として宣伝されている事で少しなっとく。
 この作品は「侠骨一代」とは少し質は違い、高倉と藤純子は直接結びつかない。鶴田が出る以上、順列はズレるということか。高倉と宮園はこちらでは最初から相愛である代わりに、後半に見せ場は無くなる。代わりに、長門の失恋(ただし、彼も死ぬ事はない代わりに中盤で消えていく)、里見の屈辱死(この二人でかつての長門の役柄を分けたわけか)、そして鶴田と藤純子の悲恋が描かれる。
 藤山寛美、長門裕之とかつての高倉の露払いが出演しながら、その役が出来ずに中途半端になるのは残念だが仕方ないか。
 まず最初の見せ場は、鶴田と高倉の果たし合い。渡世の義理で戦う二人はどちらも負けるわけにはいかず、結末は予想通りとはいえ、しかしそこに至るまでの展開、台詞は見事の一言。ここにこの作品の全てがあると云っても過言ではない。過言ではないが、勿論、他にも見せ場は多い。
 藤純子は「侠骨一代」ほどの重みはないが、長門をふる展開、鶴田との再会と、身請けに喜ぶシーン、そして二人の悲恋シーンは周りの展開に押されるが、しかしワン・シーン、弟が殴り込みに参加しようとするのを物凄い形相でひっつかみ、去っていくシーンの迫力は、そこにこの作品の藤純子の全てがある。(ちなみにこの弟役は桜木健一)
 若山富三郎は弁慶的存在で、ちょっと中途半端が残念だが、見せ場はあり、存在感もある。僕の感覚だと、どうしても若山は主役と云う気はしないのだが・・・しかし格はある。
 大木実は今回は高倉の兄弟分でのびのびと屈辱を共有する。
 だから、クライマックス、いつものように健さん一人でいつもの歌も歌われるが、その後に登場する同道の三人。併せて四人の殴り込みは、まさに「男たちの挽歌2」の原点と云えよう。(勿論、これ以外にもその位置にある作品は多いのだろうが)
 この作品のクライマックスの違いはまだある。明らかに「侠骨一代」の形だけの殴り込みではなく、同行の仲間たちが討ち死にしていく姿も描かれる。勿論、四人だから一人対数十と云う不自然さもないし、しかもまず一人討ち死にし、高倉も腹を刺され、更に若山はまさに弁慶的死に様を見せる。ここで奇妙なのは、相手の親玉を斬るシーンの淡白さだ。そこにクライマックスを置かず、若山の死に様にクライマックスを置いたのだ。
 この作品は「男たちの挽歌2」の原点と書いたが、この作品自体の原典も思い当たる。まさに「忠臣蔵」ではないか。発端となる親分の殺され方は松の廊下だし、大石のごとく馬鹿は演じられないが、浪士たちは謹慎の我慢を強いられ、だから、この作品に限っては討ち入りは一人でなく、複数でなければならないのだ。そしてクライマックスはその死に様(切腹の代替)となる。

 マキノが繰り返しの監督である事は分かっているし、この作品にもこれまでの作品の作品の繰り返しが多くある。それは悪い事ではなく、見事に華は開いている。ただ、やはり「侠骨一代」ほどのエモーションは感じられなかった。
 しかし形式としての見事さは高倉と鶴田の展開、そしてエモーショナルな頂点は藤純子の退場シーンだったように感じる。 続きを読む

at 22:40|PermalinkComments(0) 映画 

2006年01月26日

動物のお医者さん  CC

佐藤嗣麻子/久野昌宏/山崎貴(演出) 吉沢悠/和久井映見/江守徹/岸田今日子/草刈正雄/要潤

 以前、TV放映されたものを一応、録っていたのですが(いくつか穴有り)、当時は少し見てもあまり面白くなくてそのままになっていたのだけど(面白くないのに録っていた自分が不思議なのですが)、原作を通読して、改めて興味を持ったので、見てみました。最初のうちは、やはり面白くない。原作のキャラは結構活かされていると思いつつも、やはり最初がノラないのは、その違和感だと思う。展開は、エピソードの前後や(当然不採用のエピソード)、そしていくつかの修整はあっても、原則として忠実。(しかし漆原教授とピヨちゃんの対決は逃げないで欲しかったが)
 見ていくうちに、段々と役者と登場人物が重なってきて、それなりの面白さにはなってきた。特にポイントは和久井映見で、最初にピンとこなかったのも彼女なら、ノリ始めたのも彼女ゆえ。要潤(「アギト」のG3乗務員役)も似たような感想。祖母役の岸田今日子と漆原の江守とおる、それに草刈も怪演していると云っていいだろう。しかし主人公の吉沢悠は「エースをねらえ」(藤堂役)では好きだったけど、この作品ではあまり良くない。ただし、それは原作でも主人公が似たような不満があったので、そういう意味ではうまいのかも。
 全体的には原作の追体験程度の面白さで、あまりプラスアルファはない。ただ、個人的には昔とても好きで期待した和久井映見が、TVに収まって(不幸な結婚もあって映画女優としての旬を逃した)ほんの少しの懐かしさはこのようなとぼけた役でホッとしたかも。最近の彼女の役でほとんど印象に残るものはないので・・・

at 23:53|PermalinkComments(0) TV 

2006年01月25日

侠骨一代  CB

マキノ雅弘監督 高倉健/藤純子/志村喬/宮園純子/大木実

 マキノ雅弘と高倉健コンビのDVD BOXを買ってしまった。その一本目。出来としては標準のプログラムピクチャーなのだろうけど、しかしれを見ながら実感してもなお、感動的作品だった。マキノの手法は分かっているし、展開も予想通りだが(予想に反して相棒が死ななかった事は嬉しいが)、それでもなお感動的なのは、マキノが人情の機微を本当に理解しているからだろう。単なる形式にはまっていて、単なる形式を超越したものになっている。
 この作品で感動的なのは、勿論、藤純子だろう。健さんの母親として登場した彼女が再びスクリーンに登場した時、典型的女郎なのだが、健さんは彼女に母親の面影を見る。勿論、彼女に母親を見る以上、彼女を抱けるわけはない。ただただ彼女を見つめ、金を運ぶだけである。しかし彼女の方はそれではたまらない。彼女が和尚に会い、事実を知った時のショックは観客の想像とおりのものである。もう一人。健さんを慕う親分の娘がいる。宮園純子だ。彼女は立場を利用しての押掛け女房になろうとするが、しかし三角関係の修羅場にはならない。彼女もしっかりとヒロインとして成立している。普通の三角関係ではない見事な三角関係の成立。結末を描かないのも良い。メデタシでも悲劇でもない。ただ藤純子は去っていく。出航する船のテープが現在では懐かしい。(過剰すぎるように感じるのはご愛嬌)
 敵役がいて、恩人がいて、仲間や相棒がいて、敵方に無二の親友である戦友がいる。ちょっとやそっとでキレない、ぎりぎりまでテンションを高めるのもいつものこと。描写は短かったが、乞食たちの生活も良かった。軍隊から始まり、乞食、人足と、前半の展開、そして織り込まれる回想もうまい。
 ちなみに、クライマックスであるべき立ち回りはほんの数分。その直前の実質的なクライマックスである戦友大木実との対決もあっさりしたものだ。大立ち回りで一対数十人というあり得ない戦いも、まったくシラケさせず、頃合いを見て助っ人たちが乱入する。しかしその分数が、マキノの主眼がそこにはなく、こここそ単なる結末の儀式に過ぎないことは歴然としているだろう。そうそう、クライマックス直前にしっかりと健さんの歌もある。
 単なるプログラムピクチャーの一本と分かってはいるが、見事な作品だ。

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